ダウンロードコンテンツでは、プロジェクトの進め方について解説していますが、プロジェクトを進めようとすると様々な人たちと関わることになります。
3DCAD展開のようなプロジェクトでは、「抵抗勢力との戦い」が起こることが多いと私自身も実感しています。また他の推進者の皆さんからも、同じような話を聞くことが多くあります。
推進者は、なにも戦いたいわけではありません。
プロジェクトに関係する人たちがみなさん賛成してくれれば良いのですが、必ずしもそうならないのが現実です。
「私も戦いました。」
プロジェクトに関係する人たちは、大体、こんな感じに分類することができます。
- プロジェクト賛成派
- プロジェクト反対派
- プロジェクト中立派
- プロジェクト無関心派
このような“人たち”について詳しくお話をしましょう。
1.プロジェクト賛成派
3DCAD推進のプロジェクトというと、これまでの2D(2次元)CAD運用からの転換を行うことになります。このようなことを “イノベーション(Innovation)” だとよく言われます。
イノベーションは日本語に訳すと、一般的には、「革新」「技術革新」となりますが、革新と言っても何だかわかりにくいので、次のように解釈しています。
「従来存在する仕組みや製品に対して、新しい方法・仕組み・技術を用いることによって、これまでにない“新しい仕組み”や“方法”“”新しい製品“を作ることで、”社会(会社)の変革“を起こすもの」
このようなことの発起人になるのが、推進者です。
推進者は最大の賛成派であり、「先導者」です。その先導者に“強く”賛同する人は「支持者」です。
会社の中で、会社の問題点に着目して、「どうしたら変えることができるのか」という「変化を望む」タイプが、先導者になります。会社の経営層の人たちは、この先導者であるべきなので、TOPダウンでプロジェクトが行われる場合では、先導者は経営層であることが多くあります。
このような人たちは、「変わることを嫌う体質の会社」では、受け入れられない場合もあります。
支持者は先導者にとって最大の理解者です。また支持者は次の先導者へと成長する可能性を持っています。ただし、先導者となるためのリーダーの資質が必要になるので、その資質がなければ、支持者以上にはなれません。
賛成派の中には、「とりあえず賛成」という人たちもいます。
リスクをあまり考えていないので、とりあえず賛成していますが、自身にリスク(予想通りいかない可能性)が生じることは望んでいません。もし自身にリスクを感じれば、否定派にまわる可能性があります。
2.プロジェクト反対派
まずは、「持論」と合わないことから、「抵抗」を示す人たちであり、「抵抗勢力」とも言われます。
プロジェクトにおいては、その内容について十分な理解をしていないのに否定をしている場合や、その内容を理解することができなくて否定をしている場合の方が、理解をしている上で反対している場合よりも多いのではないでしょうか。
正しい理解をしてくれていればいいのですが、私の経験では、これらの人たちの持論が、必ずしも一般的に正しい知識や技術ではないことが多いことや、そもそもそのような知識や技術がなかったということも多くありました。
このような人たちとは、コミュニケーションさえ取れないこともあります。
議論も結論が出るような終盤になったのにもかかわらず、また振り出しに戻るどころか、反対意見を言い出すような人はいませんか。多分その人にはその内容を理解するだけのスキルもなく、コミュニケーションはとれないと考えていいと思います。
「情報を遮断してしまう壁」をそんな人たちは持っています。
「バカの壁」(養老 孟司氏 著書)の世界です。
「話せばわかるは通用しないこともあるのです」
反対派でもロジカルな議論ができる人、正しい知識や技術をベースに議論できる人は、単なる抵抗勢力ではありません。手強いですが、プロジェクトの必要性を認めれば、最大の賛成者になってくれる可能性があります。
残念ながら、私自身の経験では、あまりそういう他の人を見たことがありません。しかし、かつては抵抗勢力だった私自身が、先導者になったわけなので、その可能性はあるということですね。
また、「何となく反対」という人たちもいます。「とりあえず賛成」という人たちとは、ちょっと違うかもしれません。
プロジェクトを行う前の状況(現在)が、自分自身に不都合がないので変化を望まず、反対にまわります。
「余計なことしないよね」という感じです。
このような人たちは、変化により自分自身が便利になるなどの効果を実感すると、とりあえず賛成派にまわる場合もあります。
3.プロジェクト中立派
賛成も反対もする。また、「無言」にもなる人たちです。
自分自身に都合が良さそうであれば賛成の発言をし、都合が悪そうであれば反対の発言をします。この発言は、自分自身へのリスクによって左右されているのでしょう。
プロジェクトに関わる部門であることを意識はしていて、無関心ではないのですが、リスク意識や変化願望は低いです。また、正しい知識や技術がないために、賛成・反対のどちらにもつかずにいます。
ただし、正しい知識や技術を身に着けようと思ってもいないし、自分自身からプロジェクトに関わろうというほどの意識でもありません。
4.プロジェクト無関心派
「自分自身には関係ないや」
「だれかがやっていることだから」
と他人事のように考えています。まずは考えているのは、自分自身のことだけです。
つまり、自分自身に関係ないことには、興味も関心も示さない人たちです。そう思う部分には、やはりリスク意識や変化願望の低さがあります。
中立派とも異なります。
自分自身に関係ないと考えているので、賛成も反対もしません。
傍観者とも異なります。
傍観者という人たちは、社内・社外に存在します。社内のプロジェクトの範囲にない関連部門は傍観者であり、またプロジェクトに関連性のない社外の人は傍観者です。
ただ、このような傍観者の人たちの中には、過去の経験やスキルによってアドバイスをくれる人たちもいます。プロジェクトの影響や、利害関係がないからこそ、アドバイスを出すこともできるのでしょう。
ここでいう無関心派は、プロジェクトの関連性があるにもかかわらず、他人毎だと思っている人たちです。
もしかしたら、見えない場所で反対意見ではなく、「無責任な批判」をしているかもしれません。そんな批判が新しい反対派、抵抗勢力を生むこともあるかもしれません。
無関心派は自分自身へのリスクを感じたら、一気に反対派になります。無関心だからといって、決して、プロジェクトにとって有益な人たちではありません。
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皆さんのまわりにこんな人たちはいないでしょうか?
プロジェクトの規模が大きくなれば、様々な部門からのプロジェクトメンバーが集められることがあり、こんな人たちの集まりになるかもしれません。
プロジェクトメンバーが各部門の代表であれば、そのメンバーは自分の部門の、こんな人たちと向き合う必要があります。プロジェクトに関わる人たちについては、ダウンロードコンテンツで解説します。
ここでお話しした内容は、三枝匡氏著書「V字回復の経営―2年で会社を変えられますか」(日本経済新聞社)を参考にさせていただきました。この本の中では、あるプロジェクトが臨場感を持って描かれ、その中プロジェクトを取り巻く人物像について詳細に分類されていました。それを参考に、私の経験に基づいて分類しています。
ぜひ、みなさんも読んでみてはいかがでしょうか。