ものづくり基礎知識 金属・樹脂の材料

ウレタンとは?特徴・種類・用途、類似素材との違いを解説

ウレタンは配合によって硬さや弾性を大きく変えられる、非常に応用範囲の広い材料です。そのぶん種類も多く、フォーム(発泡)と非フォーム(非発泡)、さらにエーテル系・エステル系といった分類があり、初めて扱う設計者にとってはやや分かりにくい材料でもあります。

この記事では、ウレタンの基本的な定義から、フォーム・非フォームそれぞれの種類と特徴、類似素材との違い、そして機械部品として使う際のウレタン加工の方法や選定のポイントまでを、初心者にも分かりやすく、かつ設計者が実務で使える専門的な内容も含めて解説します。

ウレタンとは?特徴や用途、類似素材との違いを解説

ウレタンとは

「ウレタン(urethane)」とは、分子内に「ウレタン結合」と呼ばれる構造を持つ高分子化合物(合成樹脂)の総称で、正式名称はポリウレタン(polyurethane)です(化学用語としての「ウレタン」は特定の低分子化合物を指すため、材料名としてはポリウレタンが正確な表現です)。プラスチックの一種ですが、金属や一般的な樹脂と違い、伸縮性(弾性)を持たせられる点が大きな特徴です。なお、本記事では以降、材料名として広く使われている慣用表記の「ウレタン」を用いて解説します。

ウレタンは、主にポリオールとイソシアネートという2種類の原料を反応させてつくられます。この原料の種類や配合比率、反応条件を変えることで、やわらかいゴムのような性質から硬いプラスチックのような性質まで、硬度や弾性、耐摩耗性などの物性を幅広くコントロールできるのが最大の強みです。

ウレタンはまず、大きく「フォーム」と「非フォーム」の2種類に分けられます。

フォーム

フォームとは泡のことで、材料に発泡剤や触媒などを混ぜて発泡させたものです。スポンジのように均一な発泡体や、発泡スチロールのように小さな泡の集合体などになります。フォームのウレタンは、材料の硬さによって、硬質フォームと、半硬質フォーム、軟質フォームに分類されます。クッションや断熱材などさまざまな形で利用されています。

非フォーム

非フォームとは発泡させていないウレタンです。非フォームのウレタンの一部はエラストマー(Elastomer)やウレタンエラストマーとよばれます。エラストマーはゴムの一種でもあり、断力と強度を兼ね備えた素材です。そのためウレタンゴムと表記されることもあります。ウレタンゴムは熱によってやわらかくなり、加工が可能になる熱可塑性エラストマーと、加工時に熱を加えて硬化させる熱硬化性エラストマーの2種類に分類されます。
非フォームに分類されるウレタンには塗料や接着剤として使用されるものや、ポリウレタンという名称で繊維として使用されるものもあります。

ポリウレタンの種類

ポリウレタンの種類

ウレタンフォームの種類・特徴

ここではウレタンフォームの種類やメリットとデメリットについて解説します。

硬質フォーム

密度は30kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
独立した気泡が多いため、断熱性が高く水に強いのが特徴です。そのため住宅の断熱材などにも使われます。また自己接着性があるため、対象物の表面で直接発泡させることにより、対象物に接着させられます。

●デメリット
紫外線に弱く、紫外線が当たると劣化しやすくなります。明確な融点はないものの、火や熱にもあまり強くありません。100℃程度までの環境での使用が適切です。

半硬質フォーム

硬質フォームと軟質フォームの中間的な素材です。密度は50kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
高反発、高弾性で、緩衝材や衝撃吸収材などに使用されます。断熱性や吸音性、防音性も高いです。

●デメリット
硬質フォームと同様に紫外線や熱に弱いです。

軟質フォーム

密度は16kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
やわらかく、クッション性に富んでいます。台所用スポンジなどに使われることも多いです。

●デメリット
連続している気泡が多く、断熱性はそれほど高くありません。

エラストマー

比重は1.15前後のものが多く、硬度や引っ張り強さなどの物性値にはバリエーションがあります。

●メリット
弾性に富み、機械的強度が高いのが特徴です。耐摩擦性や耐候性もあります。

●デメリット
エラストマーの種類によっては耐油性が低いことがあります。また耐熱性もあまり高くありません。

ウレタンフォームのおもな用途

ここでは、ウレタンの中でも特にフォーム状のものについて、その性質ごとの用途を紹介します。

種類 おもな用途
硬質フォーム 住宅用断熱材、建築部材、冷蔵庫の断熱材、梱包用クッションなど
半硬質フォーム 断熱材、防音材、梱包用クッションなど
軟質フォーム クッション、スポンジ、家具、空調用フィルターなど
エラストマー(非フォーム) 靴底、ホース、工業用ベルト、自動車のタイヤ、パッキンなど

 

ウレタンゴムの種類・特徴

ここでは、ウレタンゴムの特徴やメリットとデメリットについて解説します。

ウレタンゴムの特徴

ウレタンゴムの物性や特徴、化合物の配合は、金属材料などとは異なり、JISなどによって明確に定義づけられているわけではありません。そのため、メーカーによってさまざまな配合や名称、カラーバリエーションが存在します。中には特殊な材料を加えたり、加工工程を工夫することで耐摩耗性を高めたものや制電性を高めたものも存在します。それぞれの材質の物性や特徴については、各メーカーのカタログなどから確認する必要があります。

ウレタンゴムには熱可塑性のものと、熱硬化性のものがありますが、それ以外にもエーテル系とエステル系の2種類に分類する方法もあります。エーテル系でもエステル系でも、熱可塑性と熱硬化性の両方の材質が存在するため、全部で4種類と考えていいでしょう。

ウレタンゴムのメリットとデメリット

ウレタンゴムのメリット・デメリットを種類別に解説します。

熱可塑性のウレタンゴム

耐候性、耐油性、耐摩耗性に優れる傾向があります。また機械的強度も高く、屈曲性があるのがメリットです。

熱硬化性のウレタンゴム

耐久性や弾性が要求される部位に使われることが多いです。熱可塑性のものに比べ、材料の配合による物性の自由度が高いのがメリットです。

エーテル系ウレタンゴム

弾性に優れ、耐寒性や耐水性も高いのがメリットです。エステル系に比べると機械的強度が低い傾向があります。

エステル系ウレタンゴム

機械的強度が高く耐油性もあるのがメリットです。エーテル系に比べると耐水性に劣り、使用環境によっては加水分解を起こす可能性があるのがデメリットです。

ウレタンゴムのおもな用途

ウレタンゴムは、その性質によってさまざまな用途があります。
二次加工用素材としてのウレタンゴムは、ウォータージェットや切削などの除去加工によって、パッキンやローラー、ブッシュ、緩衝ブロックといった機械部品の形状に仕上げられることもあります。加工方法については、この後の章で詳しく解説します。

種類 おもな用途
熱可塑性ウレタンゴム 電線・ケーブルの被膜、ホース、チューブ、フィルム、タイヤ、防振材、防音材、シール材、パッキン、工業用ベルトなど
熱硬化性ウレタンゴム 工業用ローラー、タイヤ、オイルシールなど。丸棒・角柱・板・シート状に加工し、二次加工用素材としても使われる

ウレタンと類似素材との違い

ウレタンは「ゴムのような弾性」と「プラスチックのような成形性」を両立できる素材ですが、用途によっては天然ゴムや合成ゴム(NBR・シリコーンゴムなど)と比較検討されることもあります。それぞれのおおまかな傾向を整理すると、次のようになります。

材料 特徴の傾向
ウレタン(ウレタンゴム) 配合の自由度が高く、硬度のバリエーションが広い。耐摩耗性・耐油性に優れる配合が多い一方、エステル系は水分に弱い
NBR(ニトリルゴム) 耐油性に優れ、Oリングやパッキンなどに広く使われる汎用ゴム
シリコーンゴム 耐熱性・耐寒性・耐候性に優れ、幅広い温度域で弾性を保てる
EPDM(エチレンプロピレンゴム) 耐水性・耐候性・耐オゾン性に優れ、屋外用途やシール材に使われる

いずれも「ゴム状の弾性体」という点は共通していますが、ウレタンは同じ材料でありながら硬度や耐摩耗性を配合で大きく変えられる点、そして非フォームのエラストマーと発泡させたフォームの両方を作れる点が、他のゴム材料と異なる大きな特徴です。用途に応じて、耐摩耗性を重視するならウレタン、耐熱性を重視するならシリコーンゴムのように、材料ごとの得意分野で選び分けるのが基本的な考え方になります。

ウレタン加工の方法

機械部品としてウレタンを使う場合、加工方法は大きく「成形による加工」と「二次加工(除去加工)」の2つに分けられます。

成形による加工(一次加工)

液状のポリオールとイソシアネートを金型に注入し、そのまま硬化させて目的の形状に仕上げる方法です。ローラーやタイヤ、シール材など、量産される定型部品でよく使われます。金型が必要になるため、初期コストはかかりますが、量産時の1個あたりのコストを抑えやすいのが特徴です。

切削・ウォータージェットによる二次加工

板状・ブロック状に成形された既製のウレタン材料(二次加工用素材)から、切削加工やウォータージェット加工によって必要な形状を削り出す方法です。金型が不要なため、小ロットや試作、1点ものの部品製作に向いています。

ウォータージェット加工は、高圧の水を細いノズルから噴射して材料を切断する加工方法です。熱による変質が少なく、やわらかいウレタンのような材料でも比較的きれいに切断できる一方、切削加工に比べると加工面の面粗さが粗くなりやすいという特性があります。

機械部品でウレタンを選定するときのポイント

治具やパッキン、緩衝材などにウレタンを使う場合、次のようなポイントを押さえておくと選定がスムーズになります。

1. 硬度(ショア硬度)で選ぶ

ウレタンゴムの硬さは「ショア硬度(デュロメータ硬度)」という指標で表されるのが一般的です。数値が大きいほど硬く、小さいほどやわらかくなります。緩衝性を重視するなら低めの硬度、耐摩耗性や形状保持性を重視するなら高めの硬度を選ぶのが基本の考え方です。

2. エーテル系かエステル系かで選ぶ

前述のとおり、エーテル系は耐水性・耐加水分解性に優れ、エステル系は機械的強度・耐油性に優れる傾向があります。屋外や湿気の多い環境で使う部品にはエーテル系、強度や耐油性が求められる部品にはエステル系を検討するとよいでしょう。

3. 使用温度・耐候性を確認する

ウレタンは金属に比べて使用可能な温度域が狭く、高温環境や紫外線に長期間さらされる環境では劣化が早まる場合があります。設置環境の温度や紫外線の当たり方も確認しておきましょう。

4. 寸法精度・外観要求を確認する

ウレタンは金属や硬質樹脂と異なり、寸法公差や表面粗さの保証範囲が他材質より緩やかになる傾向があります。図面上で厳しい公差や幾何公差、精密な表面仕上げを要求している場合は、ウレタンでの対応可否を事前に確認することが重要です。

まとめ

ウレタンは、発泡させたフォームと発泡させていない非フォームに大別されます。ウレタンフォームには硬質・半硬質・軟質の3種類があり、断熱材やクッションとして使われます。非フォームの代表であるウレタンエラストマー(ウレタンゴム)は、弾性に富みながら機械的強度も高い素材で、タイヤやベルト、パッキン、ローラーなど幅広い機械部品に使われています。

機械部品として選定する際は、ショア硬度・エーテル系かエステル系か・使用温度や耐候性・寸法精度への要求といったポイントを押さえることで、用途に合った材質を選びやすくなります。ウレタンの部品が必要になった際は、meviy(メビー)で3D CADデータをアップロードすると、即時に価格・出荷日の見積もりを確認できます。ぜひご活用ください。