加工部品の見積もり・調達 ものづくり基礎知識

部品の試作サイクルを上げたい! 依頼先・相談先の探し方、メビー・メビーマーケットプレイスの活用方法

試作の手戻りを減らし、開発サイクルを少しでも速くしたい。設計者であれば誰もが一度は感じたことのある悩みです。試作サイクルが伸びる要因の一つが、部品の加工依頼先を探し、見積もりを取るまでのリードタイムです。従来は加工会社に個別に問い合わせて相談する方法が主流でしたが、近年は「meviy(メビー)」をはじめとするWebサービスに3D CADデータをアップロードし、その場で見積もりと発注を完了させる設計者も増えています。本記事では、従来の加工依頼方法が抱えていた課題と、「メビー」「メビーマーケットプレイス」の活用によって試作サイクルがどう変わるのかを、実際の活用事例とともに整理します。

製造業における試作

部品加工の依頼先探し、従来の主流は加工会社への相談・問い合わせ

新しい装置や治具を試作する際、従来はまず取引のある加工会社に電話やメールで相談していました。図面を送り、加工可否と見積もりの回答を待ち、必要に応じて仕様を調整します。この一連のやり取りには、担当者間の連絡や社内の手続きも含めて数日から数週間を要することが少なくありません。

複数社から見積もりを取りたい場合は、同じ図面を何社にも個別送付し、それぞれの回答を待って比較する必要があります。試作段階で形状や材質を何度も変更したい場合、このプロセスをそのたびに繰り返すことになり、試作サイクルそのものが人とのやり取りの速度に縛られるという構造的な課題がありました。

試作サイクルを鈍らせる、従来の依頼方法の3つの課題

見積もり回答までに時間がかかる

加工会社への問い合わせは、担当者の確認や社内調整を経て回答されるため、即時性に乏しくなります。試作を繰り返しながら形状を最適化したい設計フェーズでは、この待ち時間の積み重ねが開発スケジュールに直結します。

2D図面の作成が前提になる

多くの加工会社では、3Dデータに加えて寸法や公差を明記した2D図面の提出が求められます。図面作成には相応の時間と経験が必要で、設計未経験者にとっては着手の障壁にもなっていました。

複数社比較・発注管理の工数が大きい

見積もりの比較、発注書のやり取り、口座開設などの事務手続きは、加工会社ごとに個別に発生します。試作部品の発注頻度が高いほど、この管理コストは無視できない負担になります。

加工依頼をWebサービスで行う動き、代表例はメビー・メビーマーケットプレイス

こうした課題を解決する手段として、ミスミが提供する部品調達プラットフォーム「meviy(メビー)」の活用が広がっています。メビーは従来の「加工会社に相談する」プロセスとは異なり、担当者とのやり取りを介さずに、3Dデータをアップロードするとその場でAIが形状を認識し、板金加工・切削加工(角物・丸物)・溶接加工などの見積もりを自動で提示する仕組みです。人を介した相談や調整を待たずに済む点が、従来の加工依頼方法との最も大きな違いになります。

見積もり内容はブラウザ上で寸法公差や表面処理などの条件を変更しながら即時に再計算できるため、複数パターンを比較検討する作業も1つの画面内で完結します。2D図面の作成も必須ではないため、加工会社を探す、個別に連絡する、回答を待つという従来のステップそのものが、データのアップロードと画面操作に置き換わり、試作サイクルを大きく短縮できます。

現場で起きている変化、実際の活用事例から

株式会社New Innovations|部品手配の負担を約9割軽減し、設計に集中できる環境へ

ロボティクス製品の企画・開発を行う株式会社New Innovationsでは、試作や設計変更が頻発する状況で、加工先の選定・見積もり取得に時間と手間がかかり、設計者が設計判断に集中しづらい状況がありました。3Dデータのみで加工可否や見積もりまで確認できるメビーの仕様が同社の開発スタイルに合致し、導入に至ったといいます。

メビーの活用は機能試作の段階から始まり、その後は10〜100台規模の小・中量産にも適用が拡大。装置1台あたりのメビー利用率は、従来の約20%から約60%まで向上しました。メビーで完結できる部品については手配にかかる負担が約9割軽減され、部品手配のために思考を中断することなく設計作業に集中し続けられる点を同社は評価しています。形状変更に応じて見積もりが自動で更新されるため、設計と原価検討を同時並行で進められることも、開発サイクルの短縮に寄与しているといいます。

事例の詳細:株式会社New Innovationsの事例

tonari株式会社|週2回の試作サイクルを実現

空間共有システムを開発するtonari株式会社では、それまで利用していた海外の受託製造サービスの日本国内向け提供終了を機に、メビーを利用するようになりました。3Dモデル通りに精度よく製作することができ、週2回という高頻度の試作サイクルを回せています。多様な国籍のメンバーが在籍する同社では、直感的なUIによって日本語が得意でない社員も問題なく利用できている点も評価されています。

事例の詳細:tonari株式会社の事例

これら2社の事例に共通するのは、「加工依頼にかかる時間を短縮した結果、設計そのものに使える時間が増え、試作サイクルが速くなった」という変化です。加工依頼先の選定は、単なる調達手段の切り替えではなく、開発サイクル全体の見直しにつながっています。

試作時におけるメビーとメビーマーケットプレイスの使い分け

メビーで試作部品を手配する場合、対応する加工範囲を理解しておくと選択がスムーズになります。

メビーは、板金加工・板金溶接加工・切削加工(角物・丸物)を中心に、AIによる自動見積もりと短納期対応を強みとするサービスです。担当者とのやり取りを介さずに発注完了することが可能で、試作部品を素早く手配したい場合に向いています。

一方、メビーマーケットプレイスは、メビー単体では対応が難しい3Dプリント・射出成形・注型・製缶・架台・複雑形状や大型部品などを扱う製造パートナーとマッチングし、あらゆる機械部品の加工依頼ができるサービスです。設計データをアップロードすると条件に合う複数の製造パートナーが提示され、チャット上で相談しながら見積もり・発注を進めることが可能です。

メビー・メビーマーケットプレイスの使い分けによって、試作プロセスを早めながら、迷ったときには各加工のプロにも相談して進めることができます。

まとめ

部品加工の依頼先を探す際、従来は個別の加工会社への相談・問い合わせが唯一の選択肢でした。しかし、メビーやメビーマーケットプレイスのようなWebサービスの登場により、人を介した相談や図面作成、複数社比較にかかっていた工数を圧縮し、試作のトライアンドエラーそのものに時間を再配分する動きが広がっています。この変化は調達手段の効率化にとどまらず、設計者のスキル習得や試作サイクルの短縮にもつながっています。メビー・メビーマーケットプレイスを活用して、部品試作の効率化を実現しましょう。