PTFEは、耐熱性、耐薬品性、低摩擦性などに優れ、薬液に触れる部品や摺動部品、電気絶縁部品などに使われるフッ素樹脂です。
本記事では、PTFEの特性や用途だけでなく、クリープ、熱膨張、締結、圧入、薄肉形状など、機械部品として採用する際に確認したいポイントを設計者向けに解説します。meviy(メビー)でのPTFE部品の手配についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
![ふっ素(スタンダード・白)[PTFE]の外観](https://jp.meviy.misumi-ec.com/help/ja/wp-content/uploads/2023/07/12590_29.png)
目次
PTFEとは
PTFEは「ポリテトラフルオロエチレン」の略称で、四ふっ化エチレン樹脂とも呼ばれるフッ素樹脂の一種です。炭素原子が連なった主鎖の周囲をフッ素原子が覆う分子構造を持ち、この安定した構造が耐熱性、耐薬品性、非粘着性などにつながっています。
PTFEは「テフロン」と呼ばれることもありますが、両者は厳密には同じ意味ではありません。Teflon™(テフロン™)は、The Chemours Company FC, LLCが保有するブランド商標です。PTFEは材料名であり、テフロンはPTFEなどのフッ素樹脂製品に使用されるブランド名です。
図面や部品表へ「テフロン」とだけ記載すると、ブランド指定なのか、一般的なPTFE材の指定なのかが不明確になります。通常は「PTFE」または「四ふっ化エチレン樹脂(PTFE)」と記載し、必要に応じてグレード、色、充填材、規格、証明書の要否を追加します。
PTFEの主な特性
耐熱性に優れる
PTFEの融解ピーク温度は、代表的なグレードで約327℃です。ただし、この温度まで機械部品として問題なく使用できるという意味ではありません。融解温度と実用上の使用限界は区別して考える必要があります。
使用可否は、材料グレード、荷重、使用時間、部品形状、薬品などによって変わります。とくに高温で荷重が加わる部品では変形が進みやすいため、耐熱温度だけで材料を選定しないことが重要です。
多くの薬品に対して安定している
PTFEは多くの酸、アルカリ、溶剤に対して優れた耐薬品性を示します。この特性を生かし、薬液設備のシール、ガスケット、バルブシート、絶縁部品、半導体製造装置の周辺部品などに使用されます。
ただし、すべての薬品や条件に対応できるわけではありません。薬品の種類だけでなく、濃度、温度、圧力、接触時間を確認し、採用する材料グレードの耐薬品データに基づいて判断します。薬品が材料を分解しない場合でも、浸透や寸法変化が問題になることがあります。
摩擦が小さく、滑りやすい
PTFEは摩擦係数が低く、ブッシュ、ガイド、摺動プレート、軸受パッドなどに使われます。潤滑油を使用しにくい環境でも候補になる材料です。
ただし、低摩擦であることと、耐摩耗性が高いことは同じではありません。未充填PTFEは、面圧、摺動速度、温度、相手材の表面粗さなどによって摩耗や変形が進む場合があります。
摺動用途では、荷重と速度、相手材、潤滑の有無を確認し、必要に応じてガラス繊維、カーボン、グラファイトなどを配合した充填材入りPTFEも検討します。ただし、充填材によって耐薬品性、摩擦特性、電気特性が変わるため、使用環境に合わせた選定が必要です。
非粘着性と電気絶縁性に優れる
PTFEは表面に物が付きにくく、粘着物を扱う治具、離型部品、付着を抑えたいガイドなどに使われます。また、電気絶縁性にも優れるため、絶縁スペーサー、ワッシャー、コネクター周辺部品などにも使用されます。
一方、物が付きにくい性質は、接着剤や塗料も付きにくいことを意味します。接着が必要な場合は専用の表面処理や接着剤を確認し、可能であればボルト、溝、挟み込みなどの機械的な固定も検討します。
PTFEの弱点と設計上の注意点
クリープが生じやすい
PTFEは、一定の荷重を長時間受けると変形が進むクリープが生じやすい材料です。たとえば、PTFE製スペーサーをボルトで直接強く締め付けると、時間の経過とともに厚さが変わり、締結力が低下する可能性があります。
設計では、荷重を広い面に分散する、局部的な面圧を避ける、金属カラーで締結荷重を受ける、溝やハウジング内に収めて変形を拘束するといった方法を検討します。採用する対策は、温度、荷重、必要寿命、部品形状に応じて決めます。
温度による寸法変化が大きい
PTFEは金属に比べて熱膨張が大きいため、常温で適切なすきまや締め代が確保できていても、使用温度では状態が変わる可能性があります。金属ハウジングと組み合わせるブッシュ、長尺ガイド、位置決め部品では、相手材との熱膨張差を考慮します。
圧入についても、締め代を大きくすれば安定するとは限りません。PTFEの変形やクリープによって保持力や内径が変化する可能性があるため、フランジ、溝、抜け止めなどを併用した形状保持も検討します。
薄肉・長尺形状は変形しやすい
PTFEは剛性が低く、切削時の固定力や工具の抵抗でも変形しやすい材料です。薄肉部、細長い突起、深い溝、長尺形状では、加工中や加工後に反りや寸法変化が生じる可能性があります。
公差は金属部品と同じ感覚で一律に厳しくせず、機能上必要な寸法へ絞って設定します。重要寸法では、使用温度だけでなく、検査温度や測定力も確認しておくとよいでしょう。
PTFEが使われる機械部品
- 薬液設備のシール、ガスケット、バルブシート
- 搬送装置や生産設備のガイド、ブッシュ、摺動部品
- 絶縁スペーサー、ワッシャー、カラー
- 粘着物や粉体が接触する治具、付着防止部品
- 半導体製造装置や実験装置の周辺部品
一方、高い剛性が必要な構造部品、高荷重が長時間加わる部品、高い寸法安定性が必要な部品では、PTFEが最適とは限りません。POM、PEEK、MCナイロン、超高分子量ポリエチレンなども比較し、優先する性能に合わせて選定します。
フッ素樹脂全体の種類や、PFA、FEP、ETFEなどとの違いは、関連記事「フッ素樹脂とは?種類や特徴、用途を解説」をご覧ください。
PTFE部品の加工方法
少量の機械部品や試作品では、PTFEの板材や丸棒から切削加工する方法がよく使われます。角物部品はマシニングセンタやフライス盤、丸物部品は旋盤などで加工します。
PTFEは柔らかく、強く固定すると加工中に変形することがあります。固定を外した後に寸法が変わる可能性もあるため、クランプ方法、切削熱、工具の状態、加工順序への配慮が必要です。
PTFEは一般的な熱可塑性樹脂のように溶融して流動させにくいため、粉末を圧縮して焼成した素材や、押出成形した素材を切削して部品へ仕上げる方法が用いられます。
PTFE部品の見積もり・発注はメビーへ
PTFEは、耐薬品性、低摩擦性、非粘着性、電気絶縁性などを生かせる一方、クリープや熱膨張を考慮した設計が必要です。採用を検討する際は、必要な特性だけでなく、加工後の寸法安定性や固定方法まで確認しましょう。
meviy(メビー)では、PTFEの見積もり・発注に対応しています。3D CADデータをアップロードすることで、製造可否、価格、出荷日を即時にオンラインで確認できます。ぜひご活用ください!
まとめ
PTFEは、耐熱性、耐薬品性、低摩擦性、非粘着性、電気絶縁性を備えたフッ素樹脂です。一方で、クリープや熱膨張が生じやすく、荷重、温度、固定方法、形状を考慮した設計が欠かせません。
とくに摺動部品では、低摩擦性だけでなく摩耗条件を確認し、必要に応じて充填材入りPTFEや他の樹脂も比較します。図面では商標名ではなくPTFEと記載し、必要なグレードや規格を明確にしましょう。
PTFEの加工による部品製作を検討する際は、ぜひメビーへの3D CADデータをアップロードをお試しください。





