板金加工 金属加工

板金加工にも欠かせない溶接とは

溶接は金属を溶かしてつなげる加工法で、機械部品や自動車、構造物など非常に広い分野で使われており、板金加工の現場でも頻繁に行われている方法です。今回は溶接について解説します。

板金加工にも欠かせない。溶接とは

溶接とは、つなげるための金属加工

溶接とは、つなげるための金属加工

工所や建設現場などで、作業員が手元の道具から火花を散らしながら作業をしているのを見たことはあるでしょうか? あれは溶接とよばれる作業の一種です。

溶接とは文字の通り、金属を溶かして接合する方法です。鉄接合部分を加熱したり、接合部分に高い圧力をかけて金属を溶かしたりして、溶けた金属が冷えて固まることで接合されます。

接着剤を用いたり、ネジで締めたりするのと異なり、部材の一部が溶けて部材同士が一体化するのが溶接の特徴です。

溶接のメリット、デメリット

溶接のメリットには次のようなものが挙げられます

  • 気密性が高い
    部材同士が溶けて接合部で一体化するため、高い気密性(シール性能)をもちます。そのため造船や航空宇宙分野でも溶接が使われる場面が多くあります。
  • 部品点数が減らせる
    接着剤やネジを用いないため、部品の数が減らせ、コストダウンを狙えます。また複雑な形状でも、板金を溶接しながら組み合わせることで、切削やプレスよりも低いコストを実現できるケースもあります。
  • 作業や装置がかんたん
    溶接方法にもよりますが、大がかりな機械装置を必要としない方法も多くあります。そのため建築現場のような屋外での作業や、少量多品種生産などにも柔軟に対応できます。

一方で溶接には次のようなデメリットもあります

  • 材料を加熱するため、熱によるひずみや残留応力が発生する可能性がある
    溶接で加熱されるのは材料の一部分のみであるため、不均一な膨張や収縮が発生します。そのためひずみや残留応力の発生につながります。
  • ネジのように接合部を分解できない。接合を外す際には破壊するしかない
    溶接では溶けた金属同士が融合し、一体化します。そのため物理的に破壊する以外に、接合を外す方法がありません。メンテナンスなどで外さなければいけない部品には適用できません。
  • 手作業による溶接は作業者の技量によって溶接品質にばらつきが発生する
    とくに作業者の技量によるばらつきを防止するためには、溶接部位の管理が大切です。非破壊試験などにより、正しく溶接が行われているかのチェックをする場合もあります。

溶接の種類

溶接には非常に多くの種類がありますが、接合方法により融接、圧接、ろう付けの3つに分類できます。接合方法ごとの代表的な溶接を下記に紹介します。

融接による溶接

融接とは接合する材料(母材)も加熱して溶かす溶接方法です。融接に分類される溶接には次のようなものがあります。

  • アーク溶接
    アーク(放電による火花)の熱を利用して金属を溶かして溶接する方法です。冒頭にも紹介した、火花を散らしながら作業する溶接方法は、このアーク溶接です。母材と溶接棒(あるいは電極)の間に高い電圧をかけ、その間にアークを発生させます。アーク溶接には、マグ溶接やミグ溶接、ティグ溶接など複数の種類があります。
  • ガス溶接ガス溶接アセチレンガスなどを燃焼させ、その熱を利用して溶接します。アーク溶接とは異なり激しい火花は散りません。装置がかんたんなため、作業場所を問わず柔軟な溶接ができます。一方で加熱される範囲が広く、熱による影響が大きいのがデメリットです。
  • レーザー溶接
    レーザーを照射した熱で金属を溶かし、溶接する方法です。アーク溶接やガス溶接に比べ、細かく精密な溶接がしやすいのが特徴です。金属を溶かすほどの強いレーザーを使用するため、専用の部屋を準備する必要があり、屋外などでは作業ができません。

圧接による溶接

圧接とは、重ね合わせた金属に、圧力と電圧を同時にかけ、抵抗によって発生した熱で金属を溶かして接合する方法です。融接と異なり、大がかりな装置が必要になります。自動車のボディなどで多く使われる溶接方法です

  • スポット溶接スポット溶接電極で溶接部位を挟み込み、電流を流した「点」で接合する方法です。ホチキスで数カ所を留めるように、複数の点を接合します。
  • シーム溶接
    原理はスポット溶接と同じですが、電極がローラーになっており、連続した「線」で接合します。気密性が非常に高いので、燃料タンクの製造などに使われる溶接方法です。

ろう接による溶接

他の溶接方法とろう接の違いは、母材を加熱しないことです。ろう接では、接合用の金属のみを溶かし、まるで接着剤のように使用します。

  • ろう付け
    ろう付けとは、融点が450℃以上の金属でろう接する方法です。
  • はんだ付け
    電子部品などで行われるはんだ付けもろう接の一種です。ろう付けで使う接合剤よりも融点の低い「はんだ」を利用します。

まとめ

溶接は、私たちの身近なところでも非常によく使われている金属加工法です。他の加工法よりも比較的簡単で気密性も高いためよく利用されていますが、デメリットもあります。作成する部品や製品の目的に合った溶接の方法を選びましょう。身の回りを観察し、溶接されているものを探してみると、より溶接への理解が深まるでしょう。