小型機器では、軽量治具が用いられる場合が多くあります。多様な製品構成に対応するために頻繁に製造ライン変更や生産場所の変更があるため、治具の運搬が必要だからです。しかし、治具の基本機能を考慮した材料選択をしないと不具合の原因になりますので、適材適所の治具の材料選定が重要です。軽量の治具に適したアルミニウムと樹脂ですが、その使い分けのポイントを考えてみます。
目次
アルミニウムと樹脂
組み立て治具や検査治具でよく利用されるのが、アルミニウムと樹脂(アクリルなど)です。両方とも軽量で加工性も良いことが特徴ですが、比重や耐熱温度、価格などでかなりの差があります。一般的な違いを下表にまとめました。
比重 | 弾性率 | 耐熱温度 | 価格 | |
アルミニウム | 2.7 | 70GPa | 200℃ | 高価 |
樹脂(アクリル) | 1.2 | 3GPa | 70℃ | 安価 |
*参考:鉄の比重=7.8
逆引きによるアルミニウムと樹脂の使い分け
治具設計において、要求機能に対してどの様に、アルミニウムと樹脂を使い分けるかを、実例を挙げて紹介していきます。
樹脂使用① ワークの位置決め治具
重量物以外のワーク(部品)の位置決め治具では、必要以上に強度は求めないのでアクリルを利用する場合が多くなります。また樹脂だとワークに傷が付くのを防止でき、電動ドライバーの振動もある程度低減できます。
樹脂使用② 飛散防止用の治具カバー
半田付け工程や接着工程の治具は、ワークに半田などが飛散しない様にカバーをつけることが多くあります。その際にカバーでワークが見えないと都合が悪い場合には、透明度の高いアクリルを利用します。
アルミニウム使用① 高温下での測定治具
製品の信頼性試験では100°Cを超える環境で治具が使われますので、必然的にアルミニウムを利用します。
*高精度の測定が求められる場合にはアルミ以外を利用します。
アルミニウム② 圧入治具
圧入治具はエアシリンダー等で位置決めブロックにぶつける事で圧入高さを調整しますので硬度が必要になります。
*硬さが更に必要な場合に必要に応じてA2000番台(ジュラルミン)を使う場合もあります。
共通項目
- 鉄に比べて、アルミニウムとアクリルは共に軽量なので、治具での利用に向いています。
- また、どちらもサビに強いので高温多湿化でも利用できます。
*ただし、アルミニウムの場合は電食で錆びるので注意が必要です。
まとめ
治具などは軽量化を求められますので、樹脂やアルミニウムを上手に使いこなすことが必要です。適材適所で使い分けることで信頼性の高い軽治具を作成することができます。
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