ものづくり基礎知識

ウレタンとは?特徴や用途、類似素材との違いを解説

ウレタン素材は、フォームと非フォームに大別されます。発泡させていない非フォームウレタンは、摩耗性や衝撃吸収性に優れ、緩衝材やパッキン、バネやローラーなどさまざまなものに使用されます。この記事では、ウレタンの種類について紹介し、特に非フォームウレタンの特徴、用途などについて詳細に解説します。

ウレタンとは?特徴や用途、類似素材との違いを解説

ウレタンとは

ウレタン (urethane) とはウレタン結合を持つ重合物のことで、正式名称はポリウレタン(polyurethane)です。プラスチックの一種で、伸縮性が高いのが特徴です。また材料の配合によって幅広い硬度のウレタンが作れる性質も持っています。
ウレタンはまず、フォームと非フォームの2種類に大別されます。

フォーム

フォームとは泡のことで、材料に発泡剤や触媒などを混ぜて発泡させたものです。スポンジのように均一な発泡体や、発泡スチロールのように小さな泡の集合体などになります。フォームのウレタンは、材料の硬さによって、硬質フォームと、半硬質フォーム、軟質フォームに分類されます。クッションや断熱材などさまざまな形で利用されています。

非フォーム

非フォームとは発泡させていないウレタンです。非フォームのウレタンの一部はエラストマー(Elastomer)やウレタンエラストマーとよばれます。エラストマーはゴムの一種でもあり、断力と強度を兼ね備えた素材です。そのためウレタンゴムと表記されることもあります。ウレタンゴムは熱によってやわらかくなり、加工が可能になる熱可塑性エラストマーと、加工時に熱を加えて硬化させる熱硬化性エラストマーの2種類に分類されます。
非フォームに分類されるウレタンには塗料や接着剤として使用されるものや、ポリウレタンという名称で繊維として使用されるものもあります。

ポリウレタンの種類

ポリウレタンの種類

ウレタンフォームの種類・特徴

ここではウレタンフォームの種類やメリットとデメリットについて解説します。

硬質フォーム

密度は30kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
独立した気泡が多いため、断熱性が高く水に強いのが特徴です。そのため住宅の断熱材などにも使われます。また自己接着性があるため、対象物の表面で直接発泡させることにより、対象物に接着させられます。

●デメリット
紫外線に弱く、紫外線が当たると劣化しやすくなります。明確な融点はないものの、火や熱にもあまり強くありません。100℃程度までの環境での使用が適切です。

半硬質フォーム

硬質フォームと軟質フォームの中間的な素材です。密度は50kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
高反発、高弾性で、緩衝材や衝撃吸収材などに使用されます。断熱性や吸音性、防音性も高いです。

●デメリット
硬質フォームと同様に紫外線や熱に弱いです。

軟質フォーム

密度は16kg/m³前後のものが多いです。

●メリット
やわらかく、クッション性に富んでいます。台所用スポンジなどに使われることも多いです。

●デメリット
連続している気泡が多く、断熱性はそれほど高くありません。

エラストマー

比重は1.15前後のものが多く、硬度や引っ張り強さなどの物性値にはバリエーションがあります。

●メリット
弾性に富み、機械的強度が高いのが特徴です。耐摩擦性や耐候性もあります。

●デメリット
エラストマーの種類によっては耐油性が低いことがあります。また耐熱性もあまり高くありません。

ウレタンフォームのおもな用途

ここでは、ウレタンの中でも特にフォーム状のものについて、その性質ごとの用途を紹介します。

ウレタンフォームの硬質フォーム

住宅用断熱材、建築部材、冷蔵庫の断熱材、梱包用クッションなどに使用されます。

半硬質フォーム

断熱材、防音材、梱包用クッションなどに使用されます。

軟質フォーム

クッションやスポンジ、家具、空調用フィルターなどに使用されます。

エラストマー

靴底やホース、工業用のベルト、自動車のタイヤ、パッキンなどに使用されます

ウレタンゴムの種類・特徴

ここでは、ウレタンゴムの特徴やメリットとデメリットについて解説します。

ウレタンゴムの特徴

ウレタンゴムの物性や特徴、化合物の配合は、金属材料などとは異なり、JISなどによって明確に定義づけられているわけではありません。そのため、メーカーによってさまざまな配合や名称、カラーバリエーションが存在します。中には特殊な材料を加えたり、加工工程を工夫することで耐摩耗性を高めたものや制電性を高めたものも存在します。それぞれの材質の物性や特徴については、各メーカーのカタログなどから確認する必要があります。

ウレタンゴムには熱可塑性のものと、熱硬化性のものがありますが、それ以外にもエーテル系とエステル系の2種類に分類する方法もあります。エーテル系でもエステル系でも、熱可塑性と熱硬化性の両方の材質が存在するため、全部で4種類と考えていいでしょう。

ウレタンゴムのメリットとデメリット

ウレタンゴムのメリット・デメリットを種類別に解説します。

熱可塑性のウレタンゴム

耐候性、耐油性、耐摩耗性に優れる傾向があります。また機械的強度も高く、屈曲性があるのがメリットです。

熱硬化性のウレタンゴム

耐久性や弾性が要求される部位に使われることが多いです。熱可塑性のものに比べ、材料の配合による物性の自由度が高いのがメリットです。

エーテル系ウレタンゴム

弾性に優れ、耐寒性や耐水性も高いのがメリットです。エステル系に比べると機械的強度が低い傾向があります。

エステル系ウレタンゴム

機械的強度が高く耐油性もあるのがメリットです。エーテル系に比べると耐水性に劣り、使用環境によっては加水分解を起こす可能性があるのがデメリットです。

ウレタンゴムのおもな用途

ウレタンゴムは、その性質によってさまざまな用途があります。

熱可塑性ウレタンゴム

電線やケーブルの被膜、ホース、チューブ、フィルム、タイヤ、防振材、防音材、シール材、パッキン、工業用ベルトなど

熱硬化性ウレタンゴム

工業用ローラー、タイヤ、オイルシールなどの他、丸棒や角柱、板やシート状に加工し、2次加工用素材としても使われます。

ウレタンゴムの加工

2次加工用素材のウレタンゴムは、ウォータージェットや切削などの除去加工が行われることもあります。

まとめ

ウレタンは発泡させたフォームと、発泡させていない非フォームに大別されます。ウレタンフォームには硬質、半硬質、軟質の3種類があり、断熱材やクッションに使われます。非フォームはウレタンエラストマーや塗料などがあります。ウレタンエラストマーはゴムの一種で、弾性に富み、タイヤやベルト、パッキンなどに使われます。