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巨大ロボットに乗る夢を実現!アーカックス開発・ツバメインダストリ 吉田龍央 代表取締役CEOインタビュー動画公開

機械部品調達のAIプラットフォーム meviy(メビー)および株式会社ミスミは、搭乗操作型ロボット「アーカックス(ARCHAX)」のテクニカルサポーターとして開発を支援しています。
このたび、ツバメインダストリ株式会社 吉田龍央 代表取締役CEOへのスペシャルインタビュー動画を公開しました。アーカックスにかける熱い想い、メビーを活用した設計・開発の裏話など語っています。ぜひご覧ください。

アーカックスの構造とデザインの融合に、メビーがどう活用されたのでしょうか。この記事では、動画に入りきらなかったお話も特別にご紹介します!

構造とデザインの融合を助けた、メビーの板金加工サービス

「日本の文化を海外に発信していきたいという意味で、自動車・アニメ・ゲーム・ロボットといった日本の強みを圧縮したプロダクトをつくりました。まずは搭乗型ロボットという新しいジャンルでビジネスを成り立たせていくというところで、おもしろいものを世に出していければと思っています。」

ツバメインダストリ株式会社 吉田龍央 代表取締役社長は、搭乗型ロボット・アーカックスにかける想いをそう語ります。

「①ロボット操縦という新しい価値の提供、②機械設計とデザインの融合、③国際規格に基づいた機械安全の三つがコンセプトとなっており、乗る人でなく見ている人もワクワクできるプロダクトを目指しました。」

アーカックスを最初に見たとき、「かっこいい」と多くの人に思っていただけるよう開発を進めました。その理由の一つが外装にあります。SF的であり、ロボットとして魅力的なデザインを表現するため、FRPを用いたスタイリッシュな装甲が用いられています。自在性が高い製造方法を選択することで、見た人に「かっこいい」と強く印象づけられるデザインが可能になりました。

一方で骨組みは、建設機械のフレームの設計思想に基づいた、堅牢さと軽さを兼ね備えた構造になっています。建設機械と同様に荷重を支えるボックス構造とし、鉄板の溶接によって構成しました。

「デザイン性の高い外装と、堅牢なフレームの2つを接続するために役に立ったのが、メビーの板金加工サービスです。外装とフレームをつなぐため、アーカックスではフレームにリブ状のブラケットを溶接し、そこに外装を固定しています。このブラケットの多くをメビーの板金加工サービスで作りました」

と吉田さん。アーカックスの骨組みはボックス構造で比較的シンプルな形状となっています。一方外装はデザイン性を重視しているため三次元的に複雑な構造体をしています。外装を固定するブラケットは、基本的にこの三次元的に複雑な面を持つ外装を、フレーム構造体に接続する必要があり、ブラケット自体も複雑な形状になります。そのため設計では3D CADを用いています。メビーの板金サービスであれば、三次元モデルから自動で見積もりが作成できるため、3Dデータを二次元の図面に変換する必要がありません。

多くの場合、3D CADにも3Dモデルから2D図面を生成するシステムはあります。しかし三次元的な複雑な形状の場合、どの断面を見せれば形状の特徴が伝わりやすいかなど、考えたり修正したりする時間も長く、2D図面を準備するためには多くの時間を要してしまいます。そのため2D図面を作らなくても見積もりができるメビーは、作業時間の短縮につながりました。
それだけでなく、メビーならその場で即座に加工可否や見積もりなどの結果が表示されます。返答を待つ時間がなく、設計開発に要する時間の効率化につながりました。

「メビーは加工できなかったり予算をオーバーしたりするならすぐに修正検討を行えるなど、設計時間の短縮に役立ちました。」

 

義手の技術が活かされた手(ハンド)

吉田さんはツバメインダストリ以外にも複数の会社を経営しており、そのうちの一つに株式会社 ALTsがあります。ALTsは筋電義手や産業用エンドエフェクタの開発を行なっている会社であり、その技術がアーカックスの手にも活かされました。吉田さんに、ロボットハンドの技術について伺いました。

「アーカックスの指の関節は、人間の手と同じように3つあります。各関節にごとにそれぞれ別のモータで制御するのではなく、一つのアクチュエータからリンク機構を使った力の伝達で指の巻き取り動作を実現しています。これは義手でも使われている技術であり、これにより多彩なポーズ表現が可能になりました」

またこのリンク機構は、把持動作にも役に立ちます。指を曲げていって物を把持する際、一番力が必要なのは手を握りこんだ状態です。この状態のときに最も多くの力をアクチュエータから伝達するようなリンク機構が搭載されています。をこのような力の調整にも義手開発で培われた技術が活かされています。

もちろん、この手の部分にもメビーの板金加工サービスが活用されています。たとえば人の手の甲はフラットではなく、手のひら側を内にして、ゆるやかな弧を描いています。アーカックスの手のフレームでこの弧を表現するために、ゆるやかな曲げを使った三次元形状の板金が必要になった際、大いに活用されたのがメビーでした。

「3Dモデルからそのまま見積もりができるメビーだからこそ、より多くの時間をアーカックスの開発検討の時間に使うことができました。」

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3Dデータのアップロードで即時に見積もりと納期を提示、最短1日目出荷でお届け。寸法公差や精度穴、幾何公差はブラウザ上で指定可能。鉄、アルミ、ステンレス、樹脂、シム、透明樹脂プレートなどに対応し、表面処理、熱処理、塗装も可能。
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メビーを使いはじめたきっかけと、メビーの良さ

吉田さんがメビーを使いはじめたのは、メビーがサービスを開始した直後のこと。

「私は高校生の頃から、自宅にある工作機械で装置の設計と製造を受託していました。その際に必要になる部品はミスミより調達させていただいており、以来ミスミを利用させていただいております。その後、ミスミからメビーのサービスが開始されたというアナウンスがあったので、すぐに使いはじめました。そのためアーカックスの開発と製造にあたっても、ごく自然な流れでメビーを利用することになりました」

メビーのよさは、これまでも述べてきたような3Dデータでそのまま即時見積もりができることだけではないと吉田さんは言います。定期的に行われる利用者アンケートの結果が反映され、さまざまな改良が行われていくところも、魅力的だそうです。たとえばメビーの板金サービスでは、利用者の要望により、厚さ16mmの鉄板の加工も可能になりました。アーカックスのコックピットを構成するハッチでは、足回りのように面で支える構造にできなかったため、剛性を持たせるためには厚い板金部品が必要でした。この部品も、メビーで板厚16mmまで加工できるようになったことで、メビーで作ることができたそうです。

さらに吉田さんは長い間、溶接サービスの実装を希望していたそうですが、それも2023年11月からついに「meviy 板金溶接サービス」として開始されました。早速利用し、アーカックスの親指部分のフレームなど、強度を要する部分に活用しているといいます。

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搭乗操作型ロボット「アーカックス(ARCHAX)」


アーカックスは、ツバメインダストリ株式会社が開発した、搭乗操作型ロボットです。4本の脚に人型の上半身、2本の腕を持ち、その先には人と同じように5本の指からなる手があります。全高は4.5m、重量は3.5t。胸部のコックピットに人が乗り込むだけでなく、ロボットモードと走行モードの2つの形に変形するのが特徴です。ツバメインダストリ株式会社の理念である“「サイエンスフィクション」の世界を「サイエンスリアリティ」へ”の言葉の通り、SFに出てくるようなロボットがそのまま実現されました。

搭乗型ロボットという新しい価値を発信するアーカックス。ともにものづくりの未来を切り拓く存在として、メビーはアーカックスの開発をサポートしていきます。

※2023年12月時点の情報です。
※ミスミの商品・サービスは一般工業用です。ツバメインダストリ株式会社との利用は特別許可に基づきます。