金属・樹脂の材料

樹脂材料にも色々ある。樹脂材料の性質

プラスチックともよばれる樹脂製品は、軽く丈夫なため、さまざまな製品に使用されています。今回は樹脂材料の種類と、それぞれの性質について紹介します。

樹脂材料の色々な種類と性質

樹脂材料の種類

樹脂材料の種類

樹脂加工で最も多い射出成形に使われる熱可塑性樹脂は、3種類に大別されます。

  • 汎用プラスチック
    家電製品や玩具などの一般的な外装や内部の部品など、非常に幅広く使われている樹脂材料です。いわゆる一般的な樹脂材料で、文字通り「汎用」されています。
  • エンジニアリングプラスチック(エンプラ)
    エンジニアリングプラスチックとは工業用にも使用できるよう、耐熱性や強度を上げた特別な樹脂材料です。おおむね100℃以上の高温に耐えることができます。金属部品と汎用プラスチックによる樹脂部品の中間の強さと考えられています。
  • スーパーエンプラ
    エンジニアリングプラスチックを超える性能をもつ樹脂材料です。おおむね150℃以上の高温にも耐え、医療分野や食品製造分野のような、高い性能を求められる領域にも広く使用されています。

広く使われる汎用プラスチック

広く使われる汎用プラスチック

汎用プラスチックには下記のような種類があります。

  • ABS
    正式名称はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂ですが、一般的にはABS(エー・ビー・エス)とよばれています。メッキや塗装などの加工性がよく、優れた性質をもちます。汎用プラスチックの中でも特に電機製品や玩具などで広く使われる樹脂材料です。3DプリンタなどにもABSを扱える機種があります。
  • PE
    ポリエチレン樹脂です。柔軟性があり、耐薬品性、耐水性に優れているのが特徴です。そのため、容器などに使われるケースが多い樹脂材料です。柔軟性があるため、射出成形時に他の樹脂に比べて金型から離れにくい場合があります。
  • PP
    ポリプロピレンです。樹脂材料の中でも特に比重が軽い材料です。耐薬品性が高いため、食品容器などに広く利用されます。また、繰り返しの曲げに強いため、曲げヒンジ(塑性ヒンジ)などにも使われます。
  • PS
    ポリスチレンです。発泡剤を混ぜて発砲スチロールとして使用されることもあります。比較的軽量で、溶けたときの粘度が低く、薄い形状でも成形できることから、食品などの容器として多く使われています。一方、油脂や熱に弱いというデメリットもあります。
  • PMMA
    ポリメチルメタクリレート樹脂、いわゆるアクリルです。透明性が高く、強度が高いのが特徴です。一方で衝撃やアルカリに弱く、割れや白化を起します。

エンプラとスーパーエンプラ

エンプラとスーパーエンプラ

エンプラやスーパーエンプラには次のような種類があります。

  • POM
    ポリアセタール樹脂。ポムと呼ばれます。ツルツルした手触りが特徴です。そのため、摺動性や耐摩耗性に優れ、樹脂部品の中でも歯車や軸受のような、他の部品とすべりの関係にある部品に多く使用されます。一方で対候性が低いため、外装部品には適しません。
  • PC
    ポリカーボネート樹脂。ポリカともよばれます。エンプラの中では透明度が非常に高いため、光学機器などにも使用されています。また耐衝撃性も強いため、窓やカバーにも使用されます。
  • PET
    ポリエチレンテレフタレート樹脂。ペットとよばれます。いわゆるペットボトルの材料です。工業用ではガラス繊維やカーボン繊維を含ませて、繊維強化プラスチックとして使われるケースが多いです。
  • PPS
    ポリフェニレンサルファイド樹脂。ピーピーエスとよばれます。一般的にはガラス繊維や炭素繊維などで強化されて使用されます。耐熱性に優れ、非常に高い機械的強度をもちます。また、燃えにくいのも特徴なため、高温になりやすい環境などで広く使用されます。
  • PEEK
    ポリエーテルエーテルケトン樹脂。ピークとよばれます。代表的なスーパーエンプラです。240℃以上の高温に耐える他、機械的強度も高く、耐衝撃性、耐薬品性などに優れます。また、高温の水蒸気下でも加水分解を起さないのが特徴です。

まとめ

樹脂材料には非常に多くの種類があり、材料によってさまざまな性質を持っています。製造した部品の使用環境や求められる特性に合わせ、適切な材料を選ぶようにしましょう。

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