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ブラケットとは?製作方法や種類について詳しく解説

身の回りにある機械部品のなかでもブラケットは補強や固定の役割をもつ部品で、自動車や産業機械、家具などにたくさん使われています。例えば、棚を固定するために壁に設置してあるL型のブラケットなどは、目にしたことがある人が多いでしょう。
他にも、製造業の開発や生産の担当者は、さまざまな目的でブラケットを使います。
例えば、治具を固定したり、装置内の部品の強度アップを図ったり、工場内の部品棚の設置などです。
今回の記事では、ブラケットの種類や特徴、選び方や気を付けるべきポイントなどを解説します。

ブラケットとは?

ブラケットとは機械部品の強度を高くしたり、別の部品をつなぎ合わせたりするための金具です。
例えば、壁に棚を設置したりするときにL型のブラケットを使います。ブラケットとは元々「腕木」の意味で、機械部品としては片持ちの支持具などを指します。照明器具やカメラ用品などの部品にも「ブラケット」がありますが、ここでは機械部品について述べていきます。

ブラケットはL型以外にも用途や目的に応じてさまざまな形状や種類があります。家具だけでなく、自動車や電気機器や医療機器、建築などさまざまな製品で使われているのです。
材質は金属や樹脂が多く、板金加工やプレス加工、切削加工、射出成型などで作られます。ネジやボルトで固定するために穴が開いている場合が多いです。
ブラケットは、形状や材質によって特徴が異なります。用途とそれぞれの特徴をよく考えて選定します。

ブラケットの製作方法

ブラケットは比較的単純な形状をしているため、フラットバーや鋼板などのシンプルな材料に機械加工を施して製作します。
例えばフラットバーを適当なサイズに切断し、他の部品を通す穴を開けたり、他の部品と固定する際にネジを通すためのタップ加工を行ったりします。また板状の素材を板金加工でL字に曲げたりする場合もあります。
用途や形状、求められる精度によって、材料や制作方法が変わります。

ブラケットのおもな種類ブラケットはおもに7種類あります。それぞれの用途や特徴を解説します。

L型ブラケット

ブラケットとは?製作方法や種類について詳しく解説

L型のブラケットは最も知られており、「アングル」ともいいます。
棚の受けとして使われたり、工作機械や電気機器などの工業製品の内部にも使われたりしています。
汎用品としてたくさん売られているので価格が安くて入手しやすいです。身近なところでは100円ショップでも手に入るでしょう。
シンプルな形状であまり大きく場所をとらないため邪魔になりにくいです。しかしながら、強度が出にくいというデメリットもあります。

三角型ブラケット

三角型ブラケット

三角型のブラケットは、L型に対して斜めの筋交いがはいっています。形状としては三角形に見えます。
三角型のブラケットはL型よりも強度が高い特徴があります。そのため、重いものをのせるために壁に取り付けたり、産業機械の構造体の補強部材などに使われたりします。
強度以外の特徴としては、筋交いの部分におしゃれなデザインをつけたり、モノをかけられるようにしたりするなど、他の機能を追加できます。
しかしながら、L型に比べて体積は大きくなるため、他の家具や部品にぶつからないように気を付けて配置しなければなりません。

スクエア型ブラケット

スクエア型ブラケット<

三角型ブラケットの筋交いを四角形にしたものがスクエア型です。
スクエア型は、三角型ブラケットより強度は劣りますが、複数の棚を置けるなどのメリットもあります。ブラケットの中にも棚やパイプなどの他の部品を通しやすいのが特徴で、さまざまな使い方ができます。

I型ブラケット

I型ブラケット

I型ブラケットは壁から受け部が突き出ているような形状です。壁との設置面が少ないので、見た目もすっきりしており、良いデザインです。
しかしながら、強度が高くないため重いものを置く場合は注意が必要です。
I型ブラケットをそのまま壁に付ける場合は、設置面が小さく荷重が集中しやすいので壁に補強が必要になる場合があります。
または、ブラケットレールを壁に設置して、I型を取り付ける方法もあります。このようにすると、強度が増して可動域も広がるため、状況に応じた自由な活用が可能になります。

a型ブラケット

a型ブラケットは、洋服をかけるためのポールなどを固定するために使われます。アルファベットの「a」のような形をした穴がついており、壁に設置します。
パイプハンガーのように使えますが、脚がないのですっきりしています。
ですが、ついついたくさんの服やかばんなどをひっかけてしまうと重くなってしまい、設置面である壁に荷重が集中して傷つけたりネジがぬけてきたりする場合があります。

Z型ブラケット

「Z」のような形をしたブラケットで、高さが違う状態で連結したり固定したりできます。
自動車部品の装着であったり、厚みがある部品の固定や棚板の固定に使われます。他にはセンサーなどのように小さい部品を固定する用途でも使われます。
家電や産業機械、加工治具や組み立て治具などの内部にはさまざまなセンサーがあるので、ブラケットもたくさん使われています。また、それにともない使用されるブラケットの種類も豊富で、さまざまな形状やサイズのものが使用されています。

凸型ブラケット

凸型ブラケット

凸型ブラケットは、「凸」のような形をしており、でっぱりなどがあっても干渉せずに連結したり、固定したりすることができます。
自動車の部品や木工品などを固定する場合に使われます。
凸型は2面で固定するので、Z型に比べて強度が高くなります。そのため、振動が少なくなったり、重いものを保持したりすることができるメリットがあります。
しかしながら、設置するためには2面分の面積が必要となるので、スペースに余裕がない場合は向いていません。

ブラケットの選び方

適切なブラケットの選び方を解説します。

材質で選ぶ

ブラケットは材質によってさまざまな特徴があります。
例えば、ステンレス製は、強度が高く、耐食性もいいです。また、強度だけあればいい場合は、コスト面を考慮してスチールという選択肢もあります。
樹脂製だと軽くて複雑な形状にできますが、強度は金属より低くなります。
また、防錆や耐食性のために表面処理をしてあるブラケットもあります。使う場所の温度や湿度、潮風があるかどうかなどを考えて適切な材質のブラケットを選びます。

用途で選ぶ

ブラケットはさまざまな形状があるので、何のために使うのかを考えて選ぶといいです。
工作機械の大型の部品を補強したり固定したりする目的であれば、L型や三角型、凸型などが適しています。
棚受けとして使いたい場合は、L型や三角型の他に、スクエア型やI型も使えます。
機械の内部のセンサーや小さな部品を固定する場合は、Z型が適している場合もあります。

仕様で選ぶ

ブラケットの寸法(厚みや穴の位置など)が、取り付ける対象と合っているか確認する必要があります。
例えば、設置面に他の部品もあり、ブラケットの設置面と干渉する場合は小さいサイズにしなければなりません。または、設置面が小さいI型のブラケットを使うなども検討していきます。

耐荷重で選ぶ

棚受けとして使う場合は、いくつの荷重に耐えられるかも大切なポイントです。壊れて棚などが落下してきた場合には、ケガをする可能性もあるため注意して選ぶ必要があります。
耐荷重が必要な場合は、三角型がおすすめです。ですが、筋交い部が他の部品と干渉してしまう場合は、L型にして、ブラケットの板厚を厚くしたりリブを作ることで強度を確保します。
産業機械や電気機器などの固定や補強に使う場合は、どの程度荷重がかかるのかを確認して選択します。必要に応じて、強度計算をして破損しないかどうかを確認しておくといいでしょう。

まとめ

ブラケットの種類や形状を紹介してきましたが、機械や家具、自動車などさまざまな製品で使われており、よく特徴を理解して選択しなければなりません。
製造業の設計や生産の現場でも、汎用品を発注して使う機会も多いです。どのようなポイントでブラケットを選択するべきか慎重に考えて選択しましょう。