山田学の「設計の勘どころ」  プロフェッショナル連載記事

柔能制剛(じゅうのうせいごう)
検知外れを作っちゃ、わからないじゃねえか -センサの特徴と注意点-

シリーズ「山田学の設計の勘どころ」では、「柔能制剛 ~しなやかなものは弱そうに見えても、堅いものをうまくそらして勝つことができる~」をテーマに、機構設計において生じるばらつき、慣性、遅れ、ガタといった“思い通りにならない要素”を理解し、逃がし、受け流すための勘どころを整理します。今回は、センサの設計時における特徴と注意点を見ていきましょう。

1)センサの種類と検知

センサとは、計測対象の状態や特性値などに関する物理量や化学量を検出し、それを伝送・記録あるいは信号処理しやすいような物理量に変換する素子あるいは装置をいいます。
機構設計で必要とする代表的な物理量の種類と具体的なセンサ名の例を示します(表2-1)。

表2-1 物理量の種類と具体的なセンサ名

分類 物理量の種類 具体的なセンサ名の例
変位量 距離、角度など ポテンショメータ、ロータリーエンコーダーなど
運動量 速度、加速度、角速度など ポテンショメータ、ロータリーエンコーダー、加速度センサなど
位置 位置、有無など フォトセンサ、磁気センサなど
圧力、ひずみなど ひずみゲージ、ブルドン管圧力計、圧電素子など
その他 音、温度など コンデンサマイク、熱伝対、サーミスタなど

上表の各種センサのうち、リンク機構に多用されるものが位置や有無検知として用いられるフォトセンサです。
フォトセンサとは、光によって対象物の位置や有無などを検出するための発光・受光素子を組み合わせた複合電子部品で、無接点であることと電子信号を出力することを特徴とします。

フォトセンサは一般的に次の3つのタイプに分類されます(表2-2)。

表2-2 フォトセンサの種類

インタラプタ

(透過型フォトセンサ)

分離フォトセンサ

(透過型フォトセンサ)

フォトリフレクタ

(反射型フォトセンサ)

ギャップ内にある透過光の遮光の有無を検出する 独立した発光センサ・受光センサに距離を持たせて有無を検知する 対象物に光を当て、反射光を検出する

2)インタラプタの特徴と注意点

リンクの位置を検知する場合、一般的にインタラプタが多用されます。
インタラプタとは、光半導体素子の発光素子と受光素子を4mm程度のギャップを設けて対向するよう組み合わせたものです。

図2-1インタラプタの構造

発光素子と受光素子の間(ギャップ)に、光を透過しない遮へい片が挿入されると、受光素子に入射する光が遮られ、この電流の変化を検出して検知する仕組みになっています(図2-2)。

図2-2 インタラプタの検知方法

インタラプタには次のような特徴があります。

  • 非接触検知のため、高信頼性、長寿命である
  • 検出位置精度が高い
  • 高応答速度である
  • 取り付けが容易である
  • ギャップの幅により遮へい片の長さや厚みが限定される
遮へい片の材質選定時の注意点

インタラプタに使用する遮へい片は、一般的に1mm厚程度の板金や樹脂片を用います。
樹脂片を使う場合は、光が透過しなければ特に何色でも構いませんが、白色よりは黒色の方が光を透過しにくいと期待できるため黒色を選ぶことが多いようです。
しかしPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)などは赤外線透過性樹脂のため黒色であっても調色にムラがあると、ごくまれに光が透過し誤検知(チャタリング)するという事例もあります。

3)インタラプタの基本仕様の確認

検知センサとして使用するインタラプタの仕様を十分確認したうえで設計しなければ、組立時に検知外れなどの不具合が発生します。
センサの仕様書から発光素子と受光素子の位置(寸法a,b,c,c’)と検知に必要十分な遮へい片の掛かり代(寸法x,y)を確認します。この寸法x,yは、仕様書あるいはメーカー推奨値、実験などから求めます。
インタラプタ取り付け部品や遮へい片の長さのばらつきと位置ばらつきを考慮して、確実に掛かり代寸法x,yを満足できるよう設計しなければ検知外れのリスクが大きくなります(図2-3)。

図2-3インタラプタの基本仕様確認と遮へい片の掛かり代

4)位置決め精度の違いを知る

遮へい片を設計する際に、遮へい片の検知範囲の違いを知る必要があります。
類似したレイアウトでも、インタラプタとレバー式遮へい片の長さによって検知角度が異なります。これによって位置決め精度とオーバーランによる検知外れのリスクが変化することがわかります(図2-4)。

  • 遮へい片が長い=位置決め精度は高いが、オーバーランによる検知外れのリスク大
  • 遮へい片が短い=位置決め精度は低いが、オーバーランによる検知外れのリスク小

a) 遮へい片が長い

b) 遮へい片が短い

図2-4 レバー式遮へい片の支点からの距離による違い

5)インタラプタと遮へい片の悪いレイアウト例

DCモータ駆動によるリンク機構の場合、モータに停止命令を出しても、モータのロータや連結する機構の慣性モーメントによって、必ずオーバーランが発生します。
インタラプタをレイアウトするとき、モータのオーバーランによってインタラプタと遮へい片の衝突や検知外れの恐れがあります(図2-5)。

図2-5 悪いレイアウト例(1)

遮へい片がセンサとの衝突を避けるために、すり抜けないように物理的なストッパを設置してはどうでしょうか?
確かにストッパを設ければオーバーランを防げますが、オーバーラン分の慣性エネルギーがストッパに衝突した反動となりリンクの支点やモータのギヤヘッドの破損につながるリスクがあります。また反動によって検知外れを生じるリスクもあります(図2-6)。

図2-6 悪いレイアウト例(2)

6)インタラプタと遮へい片の良いレイアウト例

衝突やバウンドを防ぐためにインタラプタと遮へい片をどのようにレイアウトすればいいでしょうか?
オーバーラン量は、モータのブラシ圧やギヤヘッドのフリクション(摩擦力)、リンク機構の慣性モーメントや支点部分などのフリクションが影響するため計算で求めることは困難です。そこで、簡易実験や類似機構の情報からオーバーラン量を推定し、それ以上の距離に物理的なストッパを設けるとよいでしょう(図2-7)。

図2-7 物理的ストッパは保険として使う

図2-7のレイアウトでは、機構のオーバーランがばらついた場合やモータの暴走、オペレータが手で触ってリンクを動かした場合に加えて動作中に停電が発生するとモータは緊急停止するため、遮へい片がセンサに掛からない状態で停止する可能性があります。
つまりリンクがどんな状況にあるのか機械側で把握できない状態になります。つまり下図のa)またはb)のどちらの状態にあるのかを機械側で判断できないと復旧動作(リセット)時にモータを右回転すればよいのか左回転すればよいのか判断できません(図2-8)。

a) 停止センサを通過した位置

b) 停止センサ手前の位置

図2-8 検知が外れた状態でリンク位置が不明な状態

そこでオーバーランあるいはストッパに当たった状態でも検知状態を把握できるよう遮へい片の長さを伸ばしておけばイレギュラーな状態が生じてもリンク機構の状態を把握することができ次のような動作を選択できます(図2-9)。

  • 復旧動作時に検知ONの場合は遮へい片が時計回りに動くようモータを回転させる。
  • 復旧動作時に検知OFFの場合は遮へい片を反時計回りにモータを回転させて検知ONまで動作させる。

a) 検知ON

b) 検知ON

c) 検知OFF

図2-9 検知位置を保証する考え方

機械設計の本質とは

リンク機構のような構造物を設計するとき、定常状態を満足すればOKという考え方を捨てなければいけません。
ばらつきや停電、想定外の外力のようなイレギュラーな状態を仮説検証し、それらを克服できる工夫を含めた設計(機械的構造とソフト制御)を行うことを心がけてください。

まとめ

センサは変位量や運動量、位置、力などを検知することができ、リンク機構ではフォトセンサが多用されることを知りました。
フォトセンサのうちインタラプタは発光素子と受光素子の間に遮へい片を挿入することで検知する構造であることを知りました。
遮へい片の設計次第で位置決め精度が変化し、衝突やすり抜けの恐れがあり、それを防ぐために遮へい片の形状を工夫しなければいけないことを理解してもらえたと思います。

次回は四節リンク機構のうち揺動運動する機構の例と注意点を解説します。