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補強金具の種類、代表的な材質や形状をくわしく紹介!

複数の木材や金属材料を望ましい形に組み立てるには、組み立て部分を固定したり補強したりする必要があります。この際に活躍するのが、補強金具です。
補強金具の利用シーンは幅広く、自動車や建築、家具、家電といったさまざまな対象物の固定や補強に活用されています。また、L字に曲がった「アングル」や凸型の「サドルバンド」、平らで棒状の「フラットバー」など、形状も豊富です。
今回の記事では、補強金具の役割や特徴、材質、種類などをご紹介します。

補強金具の種類、代表的な材質や形状をくわしく紹介!

補強金具とは

補強金具は、対象物の「補強」や「連結(固定)」に用いる部品です。製品や部品の弱い部分に使用して強度を高めたり、異なるもの同士を連結したり、連結部を補強して安全性を高めたりする場合などに使用されます。
補強金具はその役割から予想されるとおり、決して目立つものではありません。しかし、家電や家具、産業機械、建築物、自動車など、私たちの身の回りで幅広く活躍しています。最近では100円ショップにもさまざまな補強金具が売られており、それらをDIYで使用する人も多いようです。
補強金具の材質や形状はさまざまです。たとえば形状に関しては、アングル・ブラケット、フラットタイプ、金折、コの字、フラットバー、サドルバンドなど、10種類近くが存在します。対象物の材質や用途、使用環境に応じて適切な補強金具を選択しましょう。不適切なものを使用した場合、効果が半減してしまう場合もあるので注意が必要です。

補強金具に用いられる材質

補強金具に使用される材質は、主に以下の5種類です。

ステンレス

ステンレスは、名前のとおり「さびにくい(stainlessな)合金鋼」です。鉄を炭素で強化した「スチール(鋼)」にクロムを10.5%以上加えた素材で、耐食性と高強度を両立できる点がメリットです。
ステンレスは、含有物の種類や量などに応じてさまざまな構造をとります。補強金具の材質としてよく使用されるのは、SUS304(オーステナイト系ステンレス)やSUS430(フェライト系ステンレス)です。

スチール(鋼)

純鉄に炭素を0.02~2.1%程度の割合で加えた材料が、スチール(鋼)です。純鉄はかなり軟らかいため用途が限られますが、炭素を加えると硬くなり、さまざまな場面で使用できるようになります。
スチールは強度が高いものの、耐食性はステンレスに劣ります。そのため、屋外や水にさらされる場所では、スチール製ではなくステンレス製の補強金具を使用する方がいいでしょう。スチールにメッキや塗装などを施して、耐食性を向上させるケースもあります。

アルミニウム

アルミニウムは一円玉の材料としても使用される軽い金属で、比重はスチールの約3分の1です。補強金具の素材としては、マグネシウムとシリコンを加えて強度や耐食性を向上させた「A6063S」がよく用いられます。
アルミニウムのデメリットは、ステンレスやスチールに比べて強度が低い点です。そのため、強度よりも軽さを優先したい場合にアルミニウムを使用するといいでしょう。

真鍮(しんちゅう)

真鍮は銅と亜鉛を含む合金で、五円玉の材料として知られています。亜鉛の割合が増えるにつれて強度が向上する点が特徴で、亜鉛を20%以上含むものは「黄銅」とよばれます。一般的に補強金具として使用されるのは、この黄銅です。
黄銅は赤みがかった黄色をした、高級感のある素材です。強度と高級感を両立できる点が、黄銅の大きなメリットだといえるでしょう。ただし、湿った場所ではさびが発生しやすいので注意が必要です。

亜鉛合金

亜鉛にアルミニウム、鉄、銅、マグネシウムなどを加えた素材が、亜鉛合金です。耐衝撃性やメッキ性が良好で、加工性が高く薄肉化もできるため、自動車や家具をはじめ多くのシーンで利用されています。一方で耐食性は低く、多くの場合は表面処理を施した上で使用されます。

補強金具の形状と種類

世の中には、さまざまな形状の補強金具があります。各形状の特徴や用途を以下で解説します。

アングル・ブラケット

アングル・ブラケット

一定の角度で曲がった補強金具です。「アングル」はL字型(直角)に曲がったものを指し、「ブラケット」は部品を取り付けるための支持金具全般を指します。広い意味では、アングルもブラケットに含まれます。
アングルやブラケットは、壁や家具に棚板を設置するための棚受として使用できます。また、板の連結箇所を補強する際にも有効です。

フラットタイプ

フラットタイプ

フラットタイプとは折り曲がっていない平面状の補強金具で、I字型、T字型、L字型といったさまざまな種類があります。2つ以上の部品を連結する際に、連結部分を平面的に補強するために使用されます。T字型やL字型は、直交する2つの部材を連結する部分に使用されるケースも多く、木製家具の補強部分などに使われているのを見つけることができます。

金折

金折

金折はプレート状の金具をL字型に折り曲げたもので、形状はアングルとよく似ています。主に木製品や木造建築物に使用される点が特徴です。通常の金折よりも幅が広い「幅広金折」とよばれる補強金具も存在します。強度が必要な場合は、幅広金折の使用がおすすめです。

コの字・破損止め

コの字・破損止め

断面が「コ」の字をした補強金具で、板状部材の連結や固定、破損防止などに使用されます。具体的には、2枚の板を横に並べて連結したり、板や柱をT字型に連結したり、板ガラスの周囲を覆って破損を防いだりする際に活躍します。ステンレス製またはアルミニウム製の製品がほとんどです。

フラットバー

フラットバー

フラットバーは薄くて平らな棒状の補強金具で、平鋼ともよばれます。建築物を補強するための筋交いや、2枚の板を平面的に連結するための部材として使用されます。SPCC t1.0など薄くて変形しやすい板に溶接して強度出すこともできます。穴が空いているタイプと空いていないタイプがあり、穴が空いていないタイプの金具を取り付けるには溶接が必要です。

S型・Z型

S型・Z型

横から見た際に、「S」や「Z」に似た形状をしている補強金具です。厚さの異なる部品を平面状に固定したり、部品を段違いで固定したりする際に役立ちます。自動車部品の取り付けなどにも使われます。

サドルバンド

サドルバンド

サドルバンドは、配管を床や壁に固定するための補強金具です。配管の振動を抑えたり、重さを支えたりする目的で使用されます。
サドルバンドの中央部分は半円または凸型の形状をしており、両端にはネジ穴が設けられています。使用時には、中央部分に配管を収納した状態で、サドルバンドを壁や床にネジ止めして固定します。2カ所で固定するため、少々変則的な場所にも配管を固定できる点がメリットです。

二方金具・三方金具

二方金具・三方金具

コーナーや角の補強に使用する補強金具です。足が2方向に伸びている「二方金具」と、3方向に伸びている「三方金具」があります。木箱のコーナー部分を補強する場合や、棚やロフトベッドといった家具の角を補強する際などに使用されます。

羽子板ボルト

羽子板ボルト

細長いボルト部分と平たいネジ止め部分から構成される、羽子板のような形状の補強金具です。木造建築には必ず必要な部品で、梁と梁が直交する箇所を補強して梁の脱落を防ぐために使用されます。そのほか、耐食性に優れたステンレス製のものや、鋼に亜鉛メッキまたはユニクロメッキを施したものが多く販売されています。
羽子板ボルトにはさまざまなバリエーションがあり、ネジ止め部分にボルトを溶接したものや、ボルト部分が途中で曲がっているものなども販売されています。用途に応じた製品を選択しましょう。

まとめ

対象物を補強したり連結したりする際に役立つのが、補強金具です。産業界や家庭など、多くの場所でさまざまな補強金具が使用されています。補強金具の材質としては、ステンレス、スチール、アルミニウム、真鍮、亜鉛合金が一般的です。形状もさまざまで、平らなタイプや直角に折れたタイプ、穴が空いたタイプや空いていないタイプなど、バリエーション豊かな補強金具が販売されています。使用する場所や目的に合わせて、適切な製品を選択しましょう。