キー1本では受けきれない大トルクの伝達や、回転させながら軸方向へ滑らせる機構に欠かせない「スプライン」。しかし、歯形の種類が複数あり、図面の描き方や加工上の制約も独特です。さらに2023年にはインボリュートスプラインの旧規格(JIS B 1603)が廃止されており、古い資料のまま設計すると加工先と食い違う恐れがあります。
本記事では、最新規格への対応から正しい図面指示、材質・熱処理の実践的なノウハウまで、設計実務に必須の知識を解説します。

目次
スプラインとは:軸とボスを「複数の歯」でつなぐ機械要素
スプラインとは、円筒軸の外周に切られた歯(外側スプライン)と、相手部品の穴の内周に設けられた溝(内側スプライン/ボス)をかみ合わせ、回転トルクを伝達する機械要素です。

軸(外側スプライン)とボス(内側スプライン)のかみ合い
キー結合との違い
平行キー結合は荷重が1〜2か所に集中するため、大トルクや反転荷重が加わるとキーのせん断やかじりが生じかねません。一方スプラインは、全周の多数の歯で荷重を分散するため、同軸径でもより大きなトルクを確実に伝達できます。
また、歯形全体でかみ合うため同軸度(芯出し)を確保しやすく、歯すじが直線のため「トルクを伝えながらボスを軸方向にスライドさせる(滑動結合)」機構にも有効です。
キー溝の形状や加工の注意点は、溝加工の設計基礎|角溝・キー溝・特殊溝の加工方法と使い分けで詳しく解説しています。
スプラインが使われている場所
自動車のドライブシャフトや工作機械の主軸など、大トルクを扱う過酷な駆動部で多用されます。FA装置では、1本の軸で回転と上下動を両立させる「Z-θ機構(ピック&プレース等)」の省スペース化によく用いられます。
押さえておきたい用語
図面や規格を読む際に必須となる用語です。大径・小径は、軸と穴で「歯先・歯底」の対応が逆転する点に注意してください。
| 用語 | 意味 |
| 大径 | 軸では歯先がつくる円の直径、穴では歯底がつくる円の直径 |
| 小径 | 軸では歯底がつくる円の直径、穴では歯先がつくる円の直径 |
| 歯数(溝数) | 円周上に並ぶ歯の数 |
| モジュール | 歯の大きさを表す値(インボリュートスプラインで使用) |
| 圧力角 | 歯面の傾きを表す角度(インボリュートスプライン・セレーションで使用) |
| 有効長さ | 歯が完全な形で切られている範囲の長さ |
スプラインの種類と使い分け
スプラインは歯の断面形状によって、角形スプライン、インボリュートスプライン、セレーションの3つに大別されます。転がり要素を使うボールスプラインも、用途によっては比較対象になります。

スプラインの代表的な歯形
角形スプライン(JIS B 1601)
歯の側面が平行なスプラインです。JISでは小径で芯を合わせる「小径合わせ」が規定され、溝数は6・8・10が基本です。寸法管理が容易な一方、歯元に応力集中が生じやすいため、中程度のトルク伝達や低速での滑動結合に用いられます。
インボリュートスプライン(ISO 4156)
歯車と同じインボリュート曲線を用いた歯形です。歯元が太く強度が高いため、大トルク伝達に適します。トルク伝達時に自然に芯が揃う「自動調心性(歯面合わせ)」を備え、回転時のガタつきや振動を抑えられます。ISO 4156では圧力角30°・37.5°・45°が規定されています。
セレーション(JIS B 0006)
山形(一般に圧力角60°)の細かい歯を並べた形状です。JIS B 0006(製図規格)で定義や図記号が規定されています。取付位相を細かく調整できるため、アーム類の固定結合に多用されます。なお個別の寸法規格は廃止されており、社内規格等で運用されます。
ボールスプライン(JIS B 1193)
鋼球の転がり接触により低摩擦で動く要素です。予圧でガタを排除でき、精密なZ-θ機構に多用されます。通常はカタログ品を採用します。
種類ごとの比較
| 種類 | 歯形 | 中心合わせ | 主な規格 | 向いている用途 |
| 角形スプライン | 平行な側面 | 小径合わせ | JIS B 1601 | 中程度のトルク伝達、滑動結合 |
| インボリュートスプライン | インボリュート曲線 | 歯面合わせ | ISO 4156-1〜3 | 大トルク、高精度な回転伝達 |
| セレーション | 山形(一般に圧力角60°) | 歯面合わせ | JIS B 0006(製図) | 位相を細かく合わせる固定結合 |
| ボールスプライン | 転がり溝+鋼球 | 転動体 | JIS B 1193 | 低摩擦・ガタなしの直動+回転 |
スプラインの規格:インボリュートスプラインのJIS B 1603は2023年に廃止
注意すべきは規格の動向です。国内標準だったJIS B 1603:1995は2023年に廃止されました。現在の基準は2021年発行の国際規格「ISO 4156-1〜3」です。2025年3月に同規格の対訳版も発行され、新規設計ではISO 4156を基準とするのが確実です。
現在参照される主な規格
| 規格 | 内容 | 状況 |
| JIS B 0006 | 製図―スプライン及びセレーションの表し方(ISO 6413対応) | 現行 |
| JIS B 1601 | 角形スプライン―小径合わせ(ISO 14対応) | 現行 |
| ISO 4156-1〜3:2021 | インボリュートスプライン―歯面合わせ(一般事項・寸法・検査) | 現行(2025年に対訳版発行) |
| JIS B 1193-1/-2 | ボールスプライン | 現行 |
| JIS B 1603:1995 | インボリュートスプライン―歯面合わせ | 2023年廃止 |
| JIS D 2001 | 自動車用インボリュートスプライン | 廃止済み(内容はJIS B 1603の附属書に収録されていた) |
既存図面に旧規格が書かれている場合
既存部品とかみ合わせる場合は旧規格どおりに製作します。図面に「どの規格の体系か」を明記し、加工先へ伝達することがトラブル防止の要です。
旧JIS D 2001由来の「圧力角20°・大径合わせ」は、廃止前のJISでも新設計には非推奨でした。ただし市販品には互換性から20°系を採用した製品もあります。カタログ品と特注品を組む際は、圧力角等が一致するか確認してください。
呼び方の読み方
仕様は「呼び方」で指示します。
角形(JIS B 1601)は、溝数N・小径d・大径Dを「×」でつなぎます。「6×23×26」は溝数6、小径23mm、大径26mmです。
インボリュートは、内外の区別、歯数、モジュール、圧力角、公差等級、はめあい、規格番号の順に書きます。JIS B 0006の参考例は次のとおりです。
- 外側スプライン:EXT 24Z×2.5m×30R×5f ISO 4156
- 内側スプライン:INT 24Z×2.5m×30R×5H ISO 4156
- はめあった状態:INT/EXT 24Z×2.5m×30R×5H/5f ISO 4156
「歯数24、モジュール2.5、圧力角30°で歯底が丸い形(30R)、公差等級5、はめあいはH/f」という意味です。歯底が平らな形は「30P」と書き分けます。なお最新ISO 4156:2021では表記が変わっている可能性があるため、新規設計時は対訳版等での確認を推奨します。
はめあいと中心合わせの考え方
スプラインの設計で寸法の次に重要なのが、「どこで中心を合わせ、どの程度のすきまで組むか」です。
小径合わせ・歯面合わせ・大径合わせ
中心合わせ(センタリング)の方式は3つあります。
- 小径合わせ:軸の歯底円と穴の歯先円で芯を出す方式。JIS B 1601が採用し、軸小径を研削仕上げしやすい利点がある
- 歯面合わせ:歯の側面で芯を出す方式。ISO 4156等が採用し、荷重時に自然に調心するため回転精度を保ちやすい
- 大径合わせ:軸の歯先と穴の歯底で芯を出す方式。旧JIS D 2001等で見られる
結合形式:自由・滑動・固定
JIS B 1601では結合形式を「自由」「滑動」「固定」に分け公差を規定しています。ボスを動かすなら滑動、固定なら固定です。ISO 4156では内側「H」に対し外側を「k〜d」から選んで組み合わせます。公差の基本的な考え方は、公差とは?公差の定義や種類をまとめて解説もあわせて参考にしてください。
熱処理のタイミングで公差の考え方が変わる
見落としがちなのが熱処理の影響です。JIS B 1601の公差は最終仕上がり時の値で、「ブローチ後に熱処理しない/する」で穴公差が分けて規定されています。ひずみを考慮し熱処理の有無を図面段階で決める必要があります。
結合長さが長い場合の注意
ボスが長く「結合長さ」が大きいと、歯のねじれや曲がりの影響を強く受けます。JIS B 1601では結合長さが滑動長さより長い場合、寸法公差とは別に「スプラインアライメント誤差」の指示を求めています。長くすれば安心とは限らない点に注意してください。
伝達トルクを見積もる考え方
すべりスプラインの伝達トルクは、歯面の面圧から見積もるのが一般的です。代表的な考え方は次の式です。
T = φ × z × h × L × (dm/2) × p
| 記号 | 意味 |
| T | 伝達トルク |
| φ | 歯当たり係数(偏当たりを考慮。便覧等では0.75をよく用いる ) |
| z | 歯数 |
| h | 有効歯たけ。角形スプラインでは(D-d)/2から歯先の面取り分を差し引いた値 |
| L | 有効なかみ合い長さ |
| dm | 平均径(D+d)/2 |
| p | 許容面圧 |
たとえば角形スプライン「6×23×26」で、面取りを0.3mm、かみ合い長さを30mm、φを0.75と仮定すると、
h=0.9mm、dm=24.5mmとなり、
T ≒ 1490 × p(N・mm)
となります。許容面圧1MPaあたり約1.5N・mです。許容面圧は材質や熱処理、滑動の有無で変わるため便覧等で確認してください。カタログ標準品なら明示された許容トルクで選定するのが確実です。強度設計の前提となる力の種類は、部品の強度とは?強度設計に必要な力の種類で解説しています。
スプラインの図面指示方法(JIS B 0006)
スプラインの図面は、歯を1枚ずつ描き込む必要はありません。JIS B 0006では表し方を「忠実な表し方」と「簡単な表し方」の2つに分けていますが、細部を正しい寸法で描く「忠実な表し方」は技術図面には不要であり避けるべきとされています。実務では「簡単な表し方+呼び方」を基本とします。
外側スプライン(軸)の描き方
スプライン部を「歯がない中実の円筒」として描き、歯底やピッチ面を細い線で添えます。
- 外形(大径=歯先面):太い実線
- 歯底面(角形スプライン):細い実線
- ピッチ面(インボリュート・セレーション):細い一点鎖線
- 有効長さの終端:太い実線(通常は有効長さの範囲のみ描く)
- 工具の逃げ(切り上がり):歯底と同じ線で斜線や円弧で図示します

外側スプライン(軸)の簡単な図示と呼び方の指示
端面図では、特定の平面への歯の位置(位相)を示す場合のみ、1枚または2枚の歯を太い実線で描き込めます。
呼び方は引出線で指示する
仕様は外形から引出線を引き出し「図記号+呼び方」を記入します。図記号は角形用と、インボリュート及びセレーション用の2種類が規定されています。
内側スプライン(穴)と断面図の描き方
ボスの長手方向断面図では、歯数に関係なく「正反対に相対して2枚の歯がある」状態を描きます。このとき、歯は切断せず(ハッチングなし)に描くのが重要なルールです。
また、断面図の歯底面(穴の大径)は太い実線で描きます。外形図の歯底(細い実線)とは逆になるため、CAD等の作図で間違えやすいポイントです。

内側スプライン(ボス)の長手方向断面の表し方
組立図でかみ合いを示す際は両方の呼び方を組み合わせます。表面粗さを指示する場合は、図記号・呼び方・表面粗さを共通の引出線にまとめます。表面粗さ記号の書き方は、【一覧表あり】表面粗さ記号 Ra・Rz とは?新旧規格の変換と図面の書き方が参考になります。
呼び方だけでは伝わらない情報
呼び方だけで諸元は伝わりますが部品製作には不十分です。見積もりや製作段階で加工先とトラブルになりやすいのは次のような付加情報です。
- 適用規格とその版:別体系で解釈され相手部品と組めない
- 熱処理の種類と硬さ:硬さ不足による早期摩耗や、硬すぎて後加工不可になる
- 熱処理後の仕上げの有無:焼入れひずみで寸法公差から外れる
- 同軸度とデータム:芯ずれによって回転時の振動や偏摩耗が生じる
- 端部の面取り:組み付け時に歯先同士がかじる
- 有効長さと工具逃げ:段付き部の手前まで歯が切れない
- 検査方法(ゲージ等):受入検査の基準が合わず合否判定でもめる
振れや同軸度の指示方法は、幾何公差とは?記号の種類・データム・図面の読み方をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。焼入れ後の硬さの考え方は、金属硬度の基礎知識|硬度表と硬度を高める加工法を解説も参考にしてください。
スプラインの加工方法と、設計に効いてくるポイント
スプラインは加工方法によって、つくれる形と苦手な形がはっきり分かれます。加工法を知っておくと、図面段階で無理のない形状を選べます。
外側スプライン(軸)の加工
量産で主流とされるのがホブ切りです。生産性が高く高精度ですが、圧力角やモジュールごとに専用工具が必要です。一般的な歯車用ホブ(圧力角20°)を、圧力角30°等のスプラインには流用できない点に注意が必要です。大量生産では転造も用いられ、試作・少量品ならマシニングセンタで削り出す方法もあります。焼入れ後に高精度が求められる場合は、研削で仕上げます。
内側スプライン(穴)の加工
代表的なのがブローチ加工です。刃が段階的に大きくなる長い工具を穴に通して一度に仕上げるため、原則として貫通穴が前提となります。止まり穴形状や少量生産の場合は、歯車形削り盤(ギヤシェーパ)が選ばれる傾向にあり、試作ではワイヤ放電加工を用いることもあります。
設計で注意したい3つのポイント
- 止まり穴は極力避ける
内側スプラインを止まり穴にすると、ブローチ加工が使えずコストと難易度が上がります。形削り等を使う場合でも工具が抜けるための「逃げ溝」が必要になるのが一般的です。機能上問題がなければ貫通穴にするのが無難です。 - 段の直前まで完全な歯は切れない
外側スプラインを段付き部の手前ギリギリまで切ることは困難です。ホブ加工等では工具半径に応じた「切り上がり(不完全歯部)」が残ることが多いためです。3D CADでは段の直前までモデリングできてしまいますが、実際の図面では工具逃げを見込んで有効長さを指示する必要があります。 - 材質と熱処理の組み合わせ
軸材には、歯部を高周波焼入れするS45Cや、調質で強度を持たせたSCM440がよく使われます。過酷な用途ではSCM415やSCM420等の浸炭焼入れ材が選ばれることもあります。ただし、硬さを上げすぎると熱処理後の研削加工でコストが膨らむため、要求精度とのバランスに配慮してください。
材料の基礎は、炭素鋼とは?特徴や種類・用途を解説!SS400・S45C・S50Cも紹介にまとめています。
加工できる形とできない形の境界をもう少し広く知りたい方は、加工限界とは?設計図面で気づくポイントと加工できない形状への対策もあわせてご覧ください。
スプライン部品の調達:標準品・特注・代替案をどう選ぶか
スプラインは専用工具の制約が大きい形状です。「どこを標準品で済ませ、どこを特注にするか」の整理が納期とコストを左右します。
まずは標準品で成立するかを確認する
スプライン軸やボスはカタログ品として流通しています。「歯部は標準品に任せ、周辺部品を特注設計する」のが確実でコストを抑えられる方法です。
特注スプラインの見積依頼で伝えること
特注依頼では最初に渡す情報で回答スピードが変わります。最低限、次の情報をそろえてください。
- 適用規格と呼び方(最新のISOか旧JISか等)
- 内側・外側の別と相手部品の仕様
- 材質・熱処理・硬さ、熱処理後の仕上げ有無
- 有効長さ、工具逃げの範囲、止まり穴の有無
- 検査方法(スプラインゲージ等)
スプラインでなくてもよい場面もある
伝達トルクが小さければ、代替形状で手配の難易度を下げられる場合があります。
| 代替案 | 向いている場面 | 注意点 |
| 平行キー+キー溝(滑りキー) | 低トルクで、ボスをゆっくり動かす機構 | 荷重が集中しガタが出やすい |
| 六角軸+六角穴 | 治具や検査装置など、手動・低速の回転伝達 | 芯出し精度はスプラインに劣る |
| Dカット(二面取り)軸 | 小径軸で、軸方向の固定を別途行う場合 | 大トルクや衝撃荷重には不向き |
これらは同軸度などでは劣りますが、汎用的な旋盤やフライスで作れるため、試作等では納期とコストを大きく短縮できることがあります。
周辺部品や代替形状は、3Dデータから即時見積もり
スプラインの歯部を除く周辺部品や、キー溝・六角を使った代替形状の軸は、meviy(メビー)で手配できます。3D CADデータをアップロードすると、形状を自動で認識し、価格と出荷日がすぐに表示されます。図面を描いて加工先に見積もりを依頼し、回答を待つ工程を省けます。スプラインの歯部をモデリングしたデータは、メビーマーケットプレイスで製造パートナーへの見積もり依頼をご検討ください。
対応形状の詳細は切削加工(丸物)の見積もり可能形状を、3Dモデルどおりに仕上がらない形状については3Dモデルと仕上りに差異が生じる形状をご確認ください。
メビーの加工事例
スプラインの代替や周辺部品として参考になる、切削加工(丸物)の製作事例を紹介します。
| 写真 | ![]() |
| 名称 | 長尺駆動軸(両側段付き・Dカット/キー溝付き) |
| サービス名 | 切削加工(丸物) |
| 材質 | SUS304 |
| サイズ | Ø25×L844mm |
| 表面処理 | なし |
| 出荷日 | 10日目 |
| 参考価格 | 24,004円 |
| 写真 | ![]() |
| 名称 | 駆動軸(ズブ焼入れ) |
| サービス名 | 切削加工(丸物) |
| 材質 | SUJ2 |
| サイズ | Ø22×L220mm |
| 表面処理 | なし |
| 熱処理 | ズブ焼入れ |
| 出荷日 | 12日目 |
| 参考価格 | 14,693円 |
そのほかの事例は切削加工(丸物)の部品加工事例でご覧いただけます。
よくある質問
Q. スプラインとキー、どちらを選べばよいですか?
伝達トルクの大きさ、正逆転の有無、軸方向の滑動要求、同軸度で判断します。大トルクや衝撃荷重、回転中の滑動が必要ならスプラインが有利です。低トルクでボスを固定するだけなら、加工や手配が容易なキー結合が合理的です。
Q. JIS B 1603を指定した既存図面は、もう使えないのですか?
規格廃止後も図面自体の指示が無効になるわけではありません。補修品や既設部品と組む場合は旧規格通り製作します。ただし加工先が工具やゲージを保有しているか事前確認が必要です。新規設計ではISO 4156を基準とします。
Q. インボリュートスプラインは、歯車用のホブで加工できますか?
歯形の原理は同じですが工具の流用はできません。ISO 4156の圧力角(30°・37.5°・45°)は一般的な歯車(20°)と異なるため、専用ホブが必要です。
Q. 3D CADで、スプラインの歯形を正確にモデリングする必要はありますか?
製作上の正式な指示は2D図面の呼び方と注記です。3Dモデルを干渉確認用の簡略形状にする場合は、加工先にその旨を伝え、図面指示と矛盾しないよう注意します。
Q. ボールスプラインとすべりスプラインの違いは何ですか?
ボールスプラインは転がり接触で低摩擦、予圧でガタを無くせるため、精密な位置決めや頻繁な往復動に適します。すべりスプラインは構造が単純で衝撃に強く、大トルクの動力伝達に向きます。
まとめ
スプラインは、大トルクの伝達や軸方向の滑動を同時に実現できる機械要素です。現在の基準は、角形がJIS B 1601、インボリュートがISO 4156、製図がJIS B 0006です。旧JIS B 1603は2023年に廃止されたため、新規設計では最新規格への移行が不可欠です。
図面では「簡単な表し方+呼び方」を基本とし、熱処理条件や工具逃げなど、呼び方以外の付加情報を必ず併記しましょう。止まり穴を避ける等、加工の制約を図面に織り込むことで製作時の手戻りを防げます。
周辺部品やキー溝等の代替軸はメビーを活用するなど、適材適所の調達で設計をスムーズに進めましょう。まずは無料の見積もりをお試しください。







