金属・樹脂の材料 ものづくり基礎知識

樹脂の種類・特性・加工方法を解説|設計に役立つ材料選定のポイント

装置の軽量化、絶縁、静音、耐薬品性の向上。機械設計の現場で「ここは金属でなくてもいいのでは」と考えたとき、最初に候補に挙がるのが樹脂です。

一方で樹脂は、鋼材やアルミのように「SS400」「A5052」と決め打ちしにくい材料でもあります。名前が似ていても特性がまったく違い、温度や水分による寸法変化(熱膨張・吸水)が金属より大きいうえ、材料によっては切削で割れることもあります。結果として「トラブルを避けるために前の機種と同じ材質を選び続ける」「使いたい材質を扱う加工業者が見つからない」といった悩みが起きがちです。

この記事では、樹脂の定義と分類から、設計者が実務で押さえておくべき特性、加工方法の選び分け、材料選定とコストダウンの考え方までを整理します。さらに、3D CADデータのアップロードだけで樹脂部品の価格と出荷日がわかる「meviy(メビー)」での見積もり方法と、実際の加工事例も紹介します。

樹脂

樹脂とは?プラスチック・合成樹脂との違い

樹脂の定義

樹脂とは、もともとは松やに(ロジン)のように樹木から分泌される粘り気のある物質を指す言葉でした。現在の工業分野で「樹脂」と呼ばれるものは、そのほとんどが石油などを原料に人工的に合成した高分子材料、すなわち合成樹脂です。

高分子とは、小さな分子(モノマー)が鎖状に大量につながった巨大な分子を指します。この「長い鎖が絡み合っている」という構造が、軽量、粘り強さ、熱による軟化、金属に比べて寸法変化(熱膨張・収縮)が大きいといった、樹脂特有の性質を生み出しています。設計上のクセを理解するうえで、まずここを押さえておくことが重要です。

「樹脂」「プラスチック」「ゴム」の使い分け

機械設計の現場ではほぼ同義で使われますが、厳密には次のように整理できます。

呼び方 指す範囲 補足
合成樹脂 人工的に合成した高分子材料の総称 化学・材料分野で使われる正式な言い方
プラスチック 合成樹脂のうち、常温で硬く成形加工できるもの 日常語・製品分野で使われることが多い
エラストマー・ゴム 常温で大きく弾性変形する高分子材料 ウレタンやシリコーンなど。パッキンや防振部材に使用

なお、エラストマーと樹脂は明確に線引きできるわけではありません。ゴムの多くは熱硬化性ですが、加熱すると軟らかくなり射出成形できる熱可塑性エラストマー(TPE)も実用化されており、そのなかでも熱可塑性ポリウレタン(TPU)はローラーの被覆や緩衝部材として機械装置でも使われます。「弾性がある=樹脂ではない」わけではない点に留意してください。

また「樹脂」という言葉は、機械部品の材料だけを指すものでもありません。塗料や接着剤のバインダー(アルキド樹脂など)、化粧板の表面材(メラミン樹脂)、水処理に使う機能性材料(イオン交換樹脂)まで、化学的に高分子であれば樹脂と呼ばれます。本記事が扱うのはこのうち「削って・成形して機械部品にする樹脂」に範囲を絞って「樹脂」と表記します。

関連記事:エラストマーの種類と選び方|ゴム・樹脂との違いから部品製作まで解説

材質指示における「一般名称」と「商標」の混同に注意

機械設計の図面や部品表では「樹脂」または材質名(POM、PC など)が使われるのが一般的です。

ここで注意したいのが、材質名には商品名が一般名称化したものが混ざっています。代表例が「ナイロン」と「テフロン」で、いずれも特定メーカーの商標に由来し、材料としての正式な分類名はそれぞれポリアミド(PA)、ふっ素樹脂(PTFE)です。

図面指示では商品名と一般名が混在しやすいため、社内で表記ルールを決めておくと混乱を防げます。

関連記事:ポリアミド樹脂とは?高性能樹脂ナイロンの特性・用途・加工上の注意点を徹底解説

樹脂の分類

樹脂は数百種類以上あり、闇雲に暗記しても実務では使えません。次の「3つの評価軸」と「枠組みに収まらない材料」に分けて整理することをおすすめします。

軸1:熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂

熱可塑性樹脂は、加熱すると軟らかくなり、冷やすと再び硬くなる樹脂です。この変化は物理的なもので、原理的には繰り返し可能であるため、射出成形で大量生産しやすく、リサイクルにも向きます。機械部品に使われる樹脂の大半がこちらです。PE、PP、ABS、PC、POM、PA、PTFE、PEEK、PPS などが該当します。

熱硬化性樹脂は、加熱によって分子同士が橋をかけるように結合(架橋)し、一度固まると再加熱しても軟らかくならない樹脂です。耐熱性・剛性・寸法安定性・絶縁性に優れる反面、溶かして作り直せません。フェノール樹脂(ベークライト)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素(ユリア)樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが代表例です。絶縁部品や治具のベースプレートでは、いまもベークライトがよく選ばれます。

ここで注意したいのが、同じ名前で熱可塑性と熱硬化性の両方が存在する樹脂があることです。「ポリエステル樹脂」はその代表で、飲料ボトルや透明プレートに使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)は熱可塑性、FRPの母材に使われる不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性です。名前が同じでも成形方法もリサイクル性もまったく違うため、材質指示では略称(PET/UPなど)まで書き分けるのが安全です。

軸2:汎用樹脂・エンプラ・スーパーエンプラ

性能のグレード(耐熱性や機械的強度)による分類です。エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)は一般に「100℃以上の環境に長時間さらされても、49MPa以上の引張強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を保つもの」とされ、さらに150℃以上の高温でも長時間機能を維持するものをスーパーエンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)と呼びます。

区分 目安 代表材質 主な用途イメージ
汎用樹脂 耐熱性・強度は限定的、安価 PE、PP、PVC、PS、ABS、アクリル カバー、外装、試作、容器
エンプラ 耐熱100℃以上/引張49MPa以上/曲げ弾性率2.5GPa以上が目安 POM、PA(MCナイロン)、PC、PBT、変性PPE 歯車、ローラー、スライド部品、絶縁部品
スーパーエンプラ 耐熱150℃以上を長時間維持 PEEK、PPS、PTFE、PI、PES 半導体・液晶製造装置部品、医療機器、金属代替

※上記の数値はあくまで区分の目安です。実際の設計値は材料メーカーの物性表で確認してください。

関連記事:エンプラ(エンジニアリング・プラスチック)の用途・種類・特徴を紹介

軸3:結晶性樹脂と非晶性樹脂

見落とされがちですが、加工トラブルの原因を切り分けるうえで、重要になるのがこの分類です。

結晶性樹脂は、分子鎖が部分的に規則正しく並んだ領域(結晶)を持つ樹脂です。POM、PP、PE、PA、PTFE、PEEK、PPS などが該当します。一般に不透明で、耐薬品性・耐摩耗性・しゅう動性に優れる一方、成形収縮が大きく、切削でも内部応力の解放によって反りが出やすい傾向があります。

非晶性樹脂は、分子鎖がランダムに絡み合った状態の樹脂です。PC、アクリル(PMMA)、ABS、PVC、PS などが該当します。一般に透明度を出しやすく、寸法安定性が高く反りにくい一方、溶剤に弱く、応力がかかった状態で薬品に触れるとひび割れ(ソルベントクラック)を起こすことがあります。

現場の目安として、「透明にしたい・寸法を安定させたい → 非晶性」「滑らせたい・摩耗させたくない・薬品に触れる → 結晶性」という整理が使えます。透明カバーにアクリルやPCが定番で、スライド部品にPOMやMCナイロンが定番なのは、この性質の違いによるものです。

この3軸に収まらないもの:複合材料と発泡体

上の3軸は「樹脂そのもの」を整理する枠組みです。実際の材料にはこの枠外の性質を持つものもあります。

繊維強化プラスチック(FRP)は、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂といった母材に、ガラス繊維や炭素繊維を組み合わせた複合材料です。強度・剛性は樹脂単体とは比べものにならず、設計の考え方も積層構成や繊維方向が主役になるため、樹脂の一種としてではなく複合材料として別に捉える必要があります。後述する「強化グレード」(ペレットに短繊維を練り込んだ成形材料)とは、構造も設計手法も別物です。

発泡体は、樹脂に気泡を入れたものです。発泡ポリスチレン(EPS)や発泡ポリエチレンは、母材が同じでも比重・断熱性・緩衝性が大きく変わり、用途は梱包材や断熱材が中心になります。「材質は同じでも発泡の有無で別材料」と考えてください。

いずれも本記事が対象とする切削・成形による機械部品とは設計の前提が異なるため、詳細は個別の解説記事をご覧ください。

設計者が押さえるべき樹脂の8つの特性

カタログの物性値をすべて追う必要はありません。機械部品として樹脂を使うなら、次の8項目を確認すれば大半の判断ができます。

① 軽さ(比重)

樹脂の比重は概ね1前後で、鉄(比重7.87)やアルミ(比重2.7)と比べて非常に小さい値となっています。可動部や搬送部の軽量化では、この差が慣性の低減・省エネ・安全性に直結します。金属からの置き換えを検討する際の、最もわかりやすい動機です。

② 強度・剛性

樹脂の強度・剛性は金属に大きく劣ります。同じ形状で金属を樹脂に置き換えると、たわみが問題になるケースがほとんどです。肉厚を増やす、リブを立てる、ガラス繊維や炭素繊維で強化したグレードを選ぶといった対策が必要になります。ただし強化グレードは繊維の影響で切削性が落ちるため、工具寿命や加工面の粗さに影響します。なおここでいう強化グレードは、樹脂に短い繊維を練り込んだ成形材料のことで、前述のFRP(繊維の層を積層した複合材料)とは別のものです。

③ 耐熱性(連続使用温度・荷重たわみ温度)

樹脂の耐熱性は、目的に応じて2つの指標を使い分けます。

  • 連続使用温度:長期間にわたり高温環境にさらされても、熱劣化を起こさずに実用的な機械特性・物理特性を維持できる限界温度。
  • 荷重たわみ温度(HDT):一定の荷重(力)をかけた状態で温度を上げていき、規定のたわみに達したときの温度。

素材選びの際は、まず部品が置かれる環境と受ける負荷を整理します。長期的に高温にさらされる環境であれば「連続使用温度」を、力や応力が加わる構造部品であれば「荷重たわみ温度(熱変形温度)」を基準にして選定しましょう。

装置内の発熱、洗浄時の温水、モータ近傍の輻射熱などで、想定より周囲温度が上がるケースは珍しくありません。周辺温度の実測値に対して余裕を持った材質選定を行うのが安全です。

④ 線膨張・寸法安定性

樹脂の線膨張係数(温度変化による伸び縮みの割合)は大きく、鋼材の約10倍に達する材質もあります。

実務での影響が大きいのは次の2点です。

  • 金属と樹脂の締結部:温度変化によって膨張差が生じ、締結部のガタつきや過剰な応力(ひずみ)の原因となります。
  • 長尺・大面積の部品:絶対的な寸法変化量が大きくなり、組み立て不能や干渉を引き起こします。

対策としては、片側を「逃げ」のある長穴にして膨張を吸収する、精度が必要な部位を局所的に金属インサートにする、といった手法が使われます。

⑤ 吸水性

樹脂は水分を吸って寸法が変化します。ポリアミド(MCナイロン)やベークライト(紙基材)は吸水しやすい材質として知られています。一方、POM(ポリアセタール)は吸水性が低く寸法安定性に優れるため、精度が必要な部品で選ばれやすい材質です。

湿度変化のある環境、水や洗浄液に触れる用途では、吸水による寸法変化と強度低下を織り込んだ公差設計が必要になります。

⑥ しゅう動性・耐摩耗性

無潤滑で滑らせたい部位では、樹脂が金属より有利になることがあります。ふっ素樹脂(PTFE)は滑り特性に優れ、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)は耐摩耗性・滑り特性・耐衝撃性に優れる材質として、搬送装置のこすれ合う部品などに有効です。POMも摩擦・摩耗に強く、スライドガイドやベアリング、滑り板として金属部品よりメンテナンスを減らせる場面があります。

⑦ 耐薬品性・絶縁性・難燃性

多くの樹脂は酸やアルカリへの耐性が高く、薬液や溶剤にさらされる環境に向きます。また電気絶縁性が高いため、電子部品・電気機器周りでも広く使われます。

注意が必要なのは組み合わせです。ABSは耐薬品性・耐溶剤性が弱く紫外線で劣化しやすい、紙ベークライトは紫外線に弱く変色する、といった弱点は材質ごとに異なります。難燃性が要求される用途では、UL94などの難燃規格に適合したグレードの指定が必要です。

⑧ クリープ(長期変形)

樹脂特有の注意点です。金属では問題にならない程度の荷重でも、樹脂は常温・長時間の負荷でじわじわ変形が進行します。締結部の軸力低下(ボルトの緩み)、荷重を受け続けるブラケットのたわみ増大などが典型例です。短期の強度計算だけで判断せず、長期荷重がかかる部位では設計応力を大きく下げる、または金属を併用する判断が必要になります。

代表的な樹脂材料の特徴と使いどころ

機械装置で使用頻度の高い材質を、選定のポイントとあわせて整理します。◎○△×は相対的な傾向を示す参考値です。

材質(略称) 分類 得意なこと 苦手なこと 主な用途
ポリアセタール(POM) エンプラ/結晶性 寸法安定性、低吸水、耐摩耗、切削性 耐熱性・耐候性はやや劣る、接着が難しい スライドガイド、滑り板、ローラー、ギヤ
MCナイロン(PA) エンプラ/結晶性 強度、耐摩耗、汎用性の高さ 吸水による寸法変化 ローラー、ブラケット、ガイド、緩衝部品
ポリカーボネート(PC) エンプラ/非晶性 耐衝撃性、耐熱性、耐候性、透明性 溶剤に弱い、傷つきやすい 安全カバー、監視窓、保護パネル
アクリル(PMMA) 汎用/非晶性 透明度の高さ、切断・穴あけ・曲げのしやすさ 耐衝撃性、溶剤 表示パネル、意匠カバー、装置窓
PET 汎用/結晶性 寸法安定性、加工性、透明グレードあり 耐熱性 透明プレート、安全カバー
ポリ塩化ビニル(PVC・塩ビ) 汎用/非晶性 耐水性、耐酸・耐アルカリ、難燃性 耐熱性、低温での脆化 屋外・水回りの部材、薬液周辺
ABS 汎用/非晶性 寸法安定性、耐衝撃性、切削性、軽量 燃えやすい、耐薬品性・耐紫外線が弱い 試作品、外装、筐体、機構部品
ポリプロピレン(PP) 汎用/結晶性 耐薬品性、軽量、リサイクル性 剛性、耐熱性、接着 薬液周辺部品、簡易治具
超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE) 汎用/結晶性 耐摩耗、滑り特性、耐衝撃、耐酸・耐アルカリ 寸法安定性、耐熱性、接着 搬送装置のこすれ部、食品機械部品
ふっ素樹脂(PTFE) スーパーエンプラ/結晶性 滑り特性、耐熱性、耐薬品性 寸法安定性が悪く膨張係数が大きい、加工しにくい シール、絶縁、薬液・半導体周辺
ベークライト(フェノール樹脂積層板) 熱硬化性 絶縁性、難燃性、寸法安定性 耐摩耗・滑り特性・耐衝撃性、吸水、紫外線劣化 絶縁部品、治具のベースプレート、配線基板
PPS スーパーエンプラ/結晶性 耐熱性、寸法安定性、低吸水 脆さ、コスト 高温・薬液環境の精密部品
PEEK スーパーエンプラ/結晶性 耐熱性、耐薬品性、耐摩耗、総合バランス 材料費が高い、難削材で割れ・欠けが出やすい 半導体・液晶製造装置部品、医療機器、金属代替
ウレタン(エステル系/エーテル系) エラストマー 弾性、耐摩耗、緩衝 耐熱性、加水分解(エステル系) 防振・緩衝パッド、ローラー被覆

PEEKの連続使用温度は250℃程度とされ、高温環境での連続使用に耐える一方、材料費の高さと加工の難しさがネックになります。どこまでの性能が本当に必要なのかを見極めることが、そのままコスト管理につながります。

表の材質名を一段ほどくと

上の表には、実は「もっと大きな材料グループの一員」が混ざっています。まとめて押さえておくと、初めて見る材質名でも見当がつきます。

  • ポリエチレン(PE)系:密度の低い「LDPE(低密度)」、剛性を高めた「HDPE(高密度)」、分子量を極限まで高めた「UHMW-PE(超高分子量)」、耐熱性を上げた「PE-X(架橋)」などがあります。同じポリエチレンでも耐熱性や強度が大きく異なるため、図面指示では略称まで明記する必要があります。
  • スチレン系:ポリスチレン(PS)にアクリロニトリルを加えたものが「AS樹脂(SAN)」で、さらにゴム成分(ブタジエン)を加えて耐衝撃性を大幅に高めたものが「ABS樹脂」です。「PS → AS → ABS」の順で耐衝撃性が向上すると覚えておくと整理しやすくなります。
  • ふっ素樹脂系:代表格のPTFE以外にも、溶融成形(射出成形など)が可能な「PFA」や「FEP」、機械的強度を高めた「PVDF」などがあり、加工性や耐熱性のバランスに応じて使い分けられます。

いずれも詳細は個別の解説記事で扱います。

関連記事:【保存版】切削加工に最適な樹脂材5種の特性と用途まとめ

関連記事:PEEKとは?ポリエーテルエーテルケトンの特性・グレード・加工のポイント

関連記事:透明樹脂プレートでいつも同じ材質を選んでいませんか?代表的な材質の特徴を比較・解説

図面指示での注意点:材質名だけでなく「グレード・色」まで明記する

樹脂は同じ材質名でも、添加剤によって性能がまったく変わります。メビーでも、MCナイロンには標準品のほか、導電グレード、帯電防止グレード、耐候グレードが用意されています。

  • 導電・帯電防止グレード:静電気を嫌う電子部品や半導体周辺で選択
  • 耐候グレード:屋外や紫外線のある環境で劣化を抑える
  • 強化グレード:繊維添加で強度・剛性を向上(切削性は低下)
  • しゅう動グレード:摩擦・摩耗特性を改善

図面に材質名だけを書いて発注すると、意図と違う色・グレードが届くことがあります。材質名+グレード+色をセットで指定するのが基本です。

樹脂の加工方法と選び分け

樹脂部品の加工方法は、試作か量産か、要求精度や形状の複雑さによって最適な選択肢が異なります。機械装置の部品調達において主流となる4つの加工方法をまとめました。

射出成形

加熱して溶かした樹脂を金型内に高圧で注入し、冷却・固化させて成形する方法です。

  • 特長:複雑な立体形状を短いサイクルで大量生産でき、1個あたりの製品単価を大幅に下げられます。一方、高額な金型製作費と納期(数か月〜)が必要であり、形状変更の修正コストも高くなります。
  • 適した用途:年間数千〜数万個規模の量産部品、製品筐体。

切削加工

板材や丸棒などのブロック素材から、削り出しによって形状を創出する方法です。

  • 特長:金型が不要で1個から手配可能。3D CADデータの変更がそのまま反映でき、試作や設計変更に強い。樹脂加工の中でも高精度を出しやすい。
  • 適した用途:装置の治具、ガイド、ブラケット、ローラー、絶縁プレートなど、少量多品種の機能部品。

関連記事:切削加工とは?種類・特徴・加工方法をわかりやすく解説

樹脂プレートの板金系加工

透明樹脂プレートなどの板材をベースに、外形加工や穴あけ、タップ加工、ねじインサート挿入などを行う加工です。

  • 特長:装置の安全カバーや監視窓、表示パネルなどの面材加工に最適。メビーの板金加工サービスでは、タップ穴・皿穴・インサート穴に加え、長穴やだるま穴といった自由形状の抜き加工にも対応しています。
  • 適した用途:装置用カバー、保護パネル、監視窓、各種フレームプレート。

3Dプリンタ(付加製造)

3D CADデータをもとに、樹脂を積層して立体を造形する方法です。

  • 特長:金型も切削用の素材ブロックも不要で、中空構造や内部流路など切削不可能な形状も一体成形できます。ただし、積層方向による強度の異方性や表面粗さがあるため、高精度や強度が求められる機能部品には注意が必要です。
  • 適した用途:初期段階の形状確認・干渉チェック用の試作。

関連記事:3Dプリンタとは?種類・方式・活用のポイント

選び分けの目安

条件 向いている加工
1〜数十個、装置用の機能部品 切削加工(角物・丸物)
透明カバー、パネル類 樹脂プレートの板金系加工
形状検証・見た目の確認だけ 3Dプリンタ
年間数千個以上の量産 射出成形
設計変更が続く開発中の部品 切削加工/3Dプリンタ

関連記事:プラスチック加工(樹脂加工)とは?種類・加工方法・選び方をわかりやすく解説

樹脂部品の設計・加工で失敗しやすいポイント

金属部品と同じ感覚で図面を描くと、樹脂ではつまずきやすい箇所があります。設計時に注意すべき5つのポイントと具体策を見ていきましょう。

公差を金属基準で入れてしまう

樹脂は温度・湿度・内部応力で寸法が動くため、金属と同等の厳しい公差を全面に入れると、達成困難かコスト高になります。機能上どこが効く寸法なのかを絞り込み、そこだけ公差を管理するのが原則です。一般公差の考え方を押さえておくと、指示の抜けや過剰指示を防げます。

関連記事:一般公差とは?寸法公差・幾何公差・はめあい公差の違い、JIS等級・許容差一覧

内部応力による反り・変形

押出や鋳込みで作られた樹脂の素材には、製造時の内部応力が残っています。切削で片側を大きく削り取ると応力バランスが崩れ、加工後に反りが出ることがあります。大きな平板や、片面だけ深いポケットを掘る形状では特に注意が必要です。左右対称に近い削り方にする、板厚に余裕を持たせるといった設計上の配慮が効きます。

ねじ穴を樹脂に直接立てる

樹脂の直タップは、繰り返し着脱で山がつぶれたり、締付トルクで割れたりしやすい部位です。繰り返し脱着する箇所は、金属のインサートナットやヘリサートを使う設計に切り替えると信頼性が上がります。透明樹脂プレートでもねじインサートに対応できるケースがあります。

溶剤・接着剤の相性

非晶性樹脂は溶剤に弱く、応力がかかった状態で溶剤に触れるとひび割れを起こすことがあります。一方、PTFEやポリエチレン系は薬品に強い反面、そのために接着が難しいという裏返しの問題が生じます。洗浄液や接着剤の選定は、材質を決めた後に必ず突き合わせて確認してください。

素材取り(削り出し量)の影響

切削では、必要な外形より大きいブロック材から削り出します。材料費が高いPEEKやPPSでは、この素材サイズが価格を大きく左右します。外形寸法を素材の標準サイズに近づける、無駄に厚い板から削らないといった配慮が、そのまま価格に反映されます。

樹脂部品のコストと納期を左右する要素

樹脂部品の価格は、材料費・加工時間・段取り・納期の4つでほぼ決まります。設計段階で効くのは次のポイントです。

  • 材質グレードを過剰にしない:耐熱150℃が不要な部位にスーパーエンプラを選ぶと、材料費が跳ね上がります
  • 標準的な板厚・素材サイズに寄せる:素材取りの無駄が減ります
  • 公差を効く箇所だけに絞る:全面の高精度指示は加工時間の増加に直結します
  • 深いポケットや細い刃物が必要な形状を避ける:細穴・深溝は加工時間と工具破損リスクを増やします
  • 納期に余裕を持たせる:短納期は割増、長納期は割引になるのが一般的です
  • 複数部品をまとめて手配する:見積・発注・受入の間接工数を圧縮できます

メビーでは、20日目以降の出荷日を選ぶことで価格が30%OFFになる納期割引が用意されています。先行手配できるカバー類や、量産前にストックしておく治具部品などでは、この選択が有効です。

金属から樹脂への置き換えを検討するとき

「軽量化したい」「絶縁したい」「静かにしたい」「錆びさせたくない」という要求に対して、樹脂は有力な選択肢です。ただし置き換えの判断には、強度・剛性・クリープ・熱膨張・耐熱の5点を必ずセットで確認してください。過去の機種の材質をそのまま流用するのではなく、その部品に本当に必要な性能は何かを問い直すことが、軽量化とコストダウンを同時に達成する近道です。

メビーで樹脂部品を見積もり・発注する

meviy(メビー)は、3D CADで設計した機械部品のデータをアップロードするだけで、即時に見積もりと発注ができる機械部品調達のAIプラットフォームです。加工会社を探して図面を送り、見積もりを待つという従来の流れを、そのまま短縮できます。

メビーで樹脂部品を手配する流れ

  1. 3D CADデータ(樹脂部品のモデル)をアップロードする
  2. 形状が自動認識され、加工可否が判定される
  3. 材質・グレード・色・出荷日を選ぶ
  4. 価格と出荷日がその場で表示される
  5. そのまま発注する

見積もりは無料で、手元に3Dデータがない場合はサンプルデータをダウンロードして試すこともできます。

対応している樹脂材質

メビーでは、加工種ごとに以下のような樹脂材質を選択できます(2026年9月時点の情報です。最新のラインアップは樹脂加工部品の見積もりページでご確認ください)。

加工種 選択できる樹脂材質の例
板金加工(透明樹脂) PET、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(各スタンダード/静電グレード、透明/ブラウンスモーク)
切削加工(角物) ポリアセタール、MCナイロン(スタンダード/導電/帯電防止/耐候)、ベークライト(紙・布)、PTFE、超高分子量ポリエチレン、ABS、PEEK、PP、ユニレート、PPS、標準ウレタン
切削加工(丸物) ポリアセタール、MCナイロン、ABS、PEEK、PC、PP、PPS、PVC、アクリル、超高分子量ポリエチレン、PTFE、ユニレート

対応サイズ

加工種 対応サイズ
透明樹脂プレート 板厚3.0/5.0/8.0/10.0mm、縦10〜1000mm、横10〜2000mm
切削角物 X:10〜600mm、Y:10〜500mm、Z:3〜70mm
切削丸物 D:Φ3〜Φ500、L:1〜300mm

※材質・形状によって上下限寸法に制限があります。

出荷日

材質や加工条件によって異なりますが、最短1日目出荷に対応しています。逆に20日目以降の出荷日を選択すれば、価格を30%抑えることができます。「試作は最短、量産前ストックは長納期割引」という使い分けで、開発スピードとコストの両方を管理できます。

サービス詳細:樹脂加工部品の見積もり / 切削加工(角物) / 切削加工(丸物) / 板金加工

メビーの樹脂部品 加工事例

実際にメビーで製作された樹脂部品を、材質・サイズ・出荷日・参考価格とともに紹介します。

事例1:ガイドローラー(ポリアセタール)

サービス名 切削加工(丸物)
材質 ポリアセタール(スタンダード・白)
サイズ Ø40×L44mm
出荷日 6日目
参考価格 3,738円

低吸水で寸法安定性に優れるPOMは、転がり・滑りを伴うローラー類の定番材質です。

事例2:ローラー(MCナイロン)

サービス名 切削加工(丸物)
材質 MCナイロン(スタンダード・青)
サイズ Ø55×L60mm
出荷日 6日目
参考価格 15,019円

強度と耐摩耗性のバランスがよく、搬送部のローラーやガイドに広く使われます。

事例3:組立用治具(ABS)

サービス名 切削加工(丸物)
材質 ABS(スタンダード・自然色)
サイズ Ø80×L5mm
出荷日 8日目
参考価格 6,519円

軽くて切削性がよく寸法安定性にも優れるABSは、試作品や組立治具で使いやすい材質です。

事例4:樹脂プレート(アクリル/ねじインサート対応)

サービス名 板金加工(透明樹脂)
材質 アクリル(スタンダード・透明)
サイズ 板厚10.0mm/W140×D123×H10mm
出荷日 5日目
参考価格 5,393円

ねじインサート(M3〜M8)に対応しており、繰り返し着脱するカバーの取付部にも使えます。

事例5:装置監視窓 透明カバー(PET)

サービス名 板金加工(透明樹脂)
材質 PET(スタンダード・透明)
サイズ 板厚5.0mm/W200×D200×H5mm
出荷日 3日目(最短2日目出荷)
参考価格 5,059円

装置内部を確認する監視窓や安全カバーの用途で選ばれています。

※参考価格・出荷日はいずれも掲載時点の情報です。形状・数量・材質グレードによって変動します。最新の価格はメビーで実際に見積もりしてご確認ください。

ほかの事例を見る:樹脂加工 部品加工事例

▶ 3Dデータをアップロードして樹脂部品を1分見積もり

10. よくある質問

Q. 樹脂とプラスチックは何が違うのですか?

ほぼ同じ意味で使われます。厳密には、人工的に合成した高分子材料全体を「合成樹脂」、そのうち常温で硬く成形加工できるものを「プラスチック」と呼びます。機械設計の実務では、材質名(POM、PCなど)で指定するのが確実です。

Q. 金属部品を樹脂に置き換えられるか、どう判断すればよいですか?

強度・剛性・クリープ(長期変形)・熱膨張・耐熱の5点を確認してください。とくにクリープは金属では意識しない項目なので見落としやすく、長期荷重がかかる部位では設計応力を大きく下げる必要があります。判断に迷う場合は、まず切削加工で1個試作して実機で確認するのが確実です。

Q. 樹脂部品はどこまで精度が出せますか?

材質と形状に依存します。寸法安定性の高い材質であれば高精度な加工が可能ですが、PTFEや超高分子量ポリエチレンのように膨張・収縮が大きい材質では精度を出しにくくなります。機能上効く寸法に絞って公差を管理する設計が現実的です。

Q. 樹脂加工を依頼できる業者が見つかりません

樹脂を扱える加工会社は金属に比べて限られており、価格・納期・供給の安定性に不安が出やすい領域です。メビーは樹脂を含む部品製作をオンラインで完結できるため、複数社に見積もりを依頼して比較する手間を削減できます。

Q. 短納期で樹脂部品が必要です。最短どのくらいですか?

材質や加工条件によりますが、メビーでは最短1日目出荷に対応しています。材質ごとの出荷日は樹脂加工部品の見積もりページから確認できます。

Q. 材質は決まっていませんが、見積もりできますか?

できます。メビーでは3Dデータをアップロードした後に材質・グレードを切り替えられるため、同じ形状で複数材質の価格と出荷日を比較できます。材質選定そのものをコスト比較から始められるのが利点です。

まとめ

樹脂は、金属にはない「軽さ」「絶縁性」「耐薬品性」「しゅう動性」といった優れたメリットを持つ一方で、強度や耐熱性には限界があり、温度・湿度の影響を受けやすく、長期荷重によってクリープ変形を起こすという特有の性質があります。

実務で樹脂部品の材質選定に迷った際は、以下の思考フローで整理するとスムーズに候補を絞り込めます。

  1. 熱可塑性か熱硬化性か:絶縁・高剛性の固定部品なら熱硬化性も候補
  2. 汎用樹脂/エンプラ/スーパーエンプラ:必要な耐熱・強度のレベルで区分
  3. 結晶性か非晶性か:透明・寸法安定なら非晶性、しゅう動・耐薬品なら結晶性
  4. グレードと色:導電、帯電防止、耐候など、環境要求で指定

材質選定や公差設計を机上の検討だけで完結させようとせず、早期に切削加工などでサンプルを1個作製し、実機環境で検証することがトラブルを防ぐ最も確実な近道です。

メビーなら、3D CADデータをアップロードするだけで樹脂部品の価格と出荷日がすぐにわかり、材質を切り替えながらコストを比較できます。無料の1分見積もりから、お気軽にお試しください。

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