New仕上げ加工基準

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仕上げ種類(アーク溶接、レーザー溶接)

焼け取りのみ

「焼け取りのみ」は、規定の方法で溶接焼け(スケール)を除去します。ただし、SPCC(SPHC), SECC(電気亜鉛メッキ鋼板), A5052材の場合は、内側に入り込んだ溶接部・溶接焼けは工具が入らないため、溶接焼けが残ります。
「焼け取りのみ」の仕上げ方法は材質によって異なり、粗いグラインダーかけまたは電解研磨にて実施します。
・粗いグラインダーかけ:
  • SPCC/SPHC, SECC(電気亜鉛メッキ鋼板), A5052はグラインダーを用いて処理を行います。
  • 工具が入る範囲では溶接焼けのみでなく、溶接ビード部もグラインダーをかける対象となりますが、溶接ビード部の完全な平坦化は実施しません。
  • また、工具の届かない内側に入り込んだ溶接ビード部・溶接焼けは、ウェス・クリーナー等を用いてスス取りを行います。
  • 溶接ビード部の完全平坦化をご希望の場合は、グラインダー仕上げを選択してください。
SPCC/SPHC外観
上:外側、下:内側
SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)外観
上:外側、下:内側
A5052外観
上:外側、下:内側
・電解研磨:
  • SUS304(2B), SUS304(No.1), SUS304(片面#400研磨), SUS430(2B)は電解研磨にて溶接焼けを処理します。
  • 溶接焼けの処理対象は、内側溶接部を含みます。また、溶接ビード部はそのまま残ります。焼け取り処理後の面全体の研磨は行いません。
  • SUS304(片面#400研磨)で焼け取り処理後に体裁面側の研磨をご希望の場合は、グラインダー仕上げを選択してください。
SUS304(2B)外観
上:外側、下:内側
SUS304(No.1)外観
上:外側、下:内側
SUS430(2B)外観
上:外側、下:内側

グラインダー仕上げ

「グラインダー仕上げ」は、溶接ビード部と溶接焼け(スケール)をグラインダーを用いて処理し、溶接ビード部を平坦化します。
ただし、内側に入り込んだ溶接部は工具が入らないため、溶接ビード部平坦化の対象外となります。
また、SPCC/SPHC, A5052の内側の溶接焼けはスス取りのみの対応となりますが、ステンレス材質は内側の溶接焼けに対して電解研磨を行い除去します。

SPCC/SPHC 外側

A5052 外側

SUS304(2B)外側

SUS430(2B) 外側

仕上げ領域(アーク溶接、レーザー溶接)

焼け取りのみ、グラインダー仕上げともに、仕上げ処理範囲は製品の外側に位置する溶接ビード部・溶接焼けが対象となります。
製品の内側に位置する溶接ビード部・溶接焼けの処理は、工具が入らない範囲は実施できません。
ただし、ステンレス系材質は、内側に位置する溶接線に伴う溶接焼けも処理対象です。内側の溶接ビード部の平坦化はできません。

材質・表面処理ごとの仕上げ方法(アーク溶接、レーザー溶接)

材質・表面処理ごとの仕上げ対応表

材質 焼け取りのみ グラインダー仕上げ
外側
溶接焼け(スケール)
内側
溶接焼け(スケール)
溶接ビード残存
外側
溶接焼け(スケール)
内側
溶接焼け(スケール)
溶接ビード残存
SPCC/SPHC
SPCC/SPHC+各種メッキ
※三価クロメート(黒)除く
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
ウェス・クリーナー等
スス取り
外側:なし
内側:あり
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
ウェス・クリーナー等
スス取り
外側:なし(フラット)
内側:あり
SPCC/SPHC+三価クロメート(黒) グラインダーで処理後、 面全体を研磨
SPCC/SPHC+各種塗装
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
ウェス・クリーナー等
スス取り
外側:なし
内側:あり
SUS304(No.1)
SUS304(2B)
SUS430(2B)
電解研磨 電解研磨
外側:あり
内側:あり
電解研磨 電解研磨
外側:なし(フラット)
内側:あり
SUS304(片面#400研磨) 電解研磨・グラインダーで処理後、体裁面側を#400以上のバフ研磨仕上げ
A5052
A5052+各種アルマイト
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
ウェス・クリーナー等
スス取り
外側:なし
内側:あり
グラインダーで処理
(溶接部付近のみ)
ウェス・クリーナー等
スス取り
「ビード残存」欄 凡例
  • ・内側:あり ⇒ 溶接ビードを削らず残存している状態(工具が入る範囲は削る場合有)
  • ・外側:なし(フラット)⇒ 溶接ビードを削り、周囲の面に対して凸でない状態
  • ・外側:なし ⇒ 溶接ビードを削っているが、周囲の面に対してフラットを保証するものではない状態

追加で固有の仕上げ方法を行う材質・表面処理

・SUS304 (片側#400研磨):
  • グラインダー仕上げ選択時は、体裁面側を#400番以上のバフ研磨で仕上げします。
SUS304(片側#400研磨) グラインダー仕上げ後外観
・SPCC/SPHC + 三価クロメート(黒):
  • グラインダー仕上げのみ選択可能です。
  • 他メッキ品と同様に表面処理前にグラインダー仕上げ実施後、ダブルアクションサンダーで面全体を研磨したうえでメッキ加工を行います。

SPCC/SPHC + 三価クロメート(黒)グラインダー仕上げ後外観

スポット溶接の仕上げ方法

スポット溶接部の仕上げ処理は、溶接情報指示欄で選択している内容に関わらず、材質によって固定の方法にて実施します。

例えば、溶接情報指示欄にてグラインダー仕上げを選択している場合も、スポット溶接痕へのグラインダーがけは実施しないため、スポット溶接痕は残った状態で出荷します。

材質ごとの仕上げ方法

・SPCC/SPHC:
  • スポット溶接に伴う溶接焼け取り処理は行わず、スポット溶接痕を残した状態で出荷します。
  • ただし、仮止めによる溶接焼け部は、工具が入る範囲についてはグラインダーを用いて処理を行います。
・SECC(電気亜鉛メッキ鋼板):
  • スポット溶接に伴う溶接焼け取り処理は行わず、スポット溶接痕を残した状態で出荷します。
  • メッキ保持のため、仮止めによる溶接焼け部の焼け取り処理も行いません。
・SUS304(2B), SUS430(2B):
  • スポット溶接に伴う溶接焼けを電解研磨にて処理します。スポット溶接痕は残した状態で出荷します。
・A5052:
  • スポット溶接に伴う溶接焼け取り処理は行いませんが、スポット溶接痕付近のみグラインダーで処理し、周囲に対して凸部がない状態とします。
  • 仮止めによる溶接焼け部の処理も行いません。

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